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私がチーノ君の部屋に行けばいいんだよね?だって、アイさんがチーノ君の部屋で飲んでて、飲み潰れちゃったから。
「 すいません、Aさん。 」
玄関のドアがチーノ君によって閉められた。思考回路停止。何が起きてるか分からない。
「 ストーカーに遭った時、どうしたらええのかなって言うてましたよね。大人に相談するべきやとは俺も思うけど、大人が解決してくれるとも限らない。もし、Aさんにストーカーが居たら、俺が殺すので大丈夫ですよ。 」
声も出せないまま寝室に連れて行かれた。間取りが一緒だから、分かるんだ。何処を寝室にしているか。私が普段、何処で寝ているか。
「 それにしても、Aさん男運無いですよねえ。元彼に浮気されて、別れてばっかり。ほんまに可哀想やわあ。Aさんみたいな素敵な人が居るのに、浮気するなんて。 」
口をチーノ君の大きな手で塞がれた。もがいているつもりだが、逃げられない。チーノ君がいとも簡単にポケットからロープを出した。
「 俺、綺麗好きなんで、あんまり汚くしないで下さいね。 」
ぎゅうっと、ロープにチーノ君が力を加える。私の首がきゅうっと締まっていく。怖い。でも、誰も助けてくれない。争った形式無し。インターホンに不審な人物の記録無し。盗まれた物なし。
そうか。隣人さんなら、簡単に家に上げて貰えるのか。チーノ君の巧妙な話術で、彼女も自宅に上げてしまったんだ。でも、分からない事がまだ沢山ある。何で?何で、私なの。可愛くもないし、小さくもない。狙われる様な要素、何も無い。そんな私の心の声が聞こえたのか、チーノ君はニヤリと笑った。狐。狐に見えた。
「 それは、ストーカーの好みですやん。 」
鈴を転がした様な笑い声がした。
「 あれ、チーノ君、バイト辞めたんだ。 」
アイの独り言が事務所に響く。狐はもう、此処には居ない。
「 あ、チーノ君、お疲れ様。 」
「 お疲れ様です、ユキさん。 」
狐は直ぐ、木の葉に隠れてしまうから。
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紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
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