【 wrwrd! 】かのじょにアトレ【合作】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:2,528 hit

｜ページ3

「えと、君が....」
生贄の、と言ってしまうとこだった。だけど彼女には言わなくても分かったようだ。
『あはは...そうです。生贄に選ばれちゃった人です』
正直その顔は苦笑いで子供がする顔じゃなかった。だけど、それと共に彼女が生贄として神に奉げられると思うと、神様がうらやましくなった。
幼女趣味なんてないのに。そう思うほど綺麗だった。
「そうか..」
そうとしか言えなかった。逆にそのほかに何が言えようか。
これが俺と生贄ことAとの出会いだ。

それから半年たっただろうか、季節はもう冬。ずっと体が震えるほど冷え、お布団から出るのに一勝負しなければいけない頃になった。
俺はAとも仲良くなってもう半年か、と思うぐらい彼女と過ごす時間は一瞬だった。
恋とまではいかないけど、やっぱり過ごしていくうちに情が移っていくものだ。
だけど彼女はどう思っているんだろうか。どう、なんだろか。
気になるけど聞けない。言っちゃいけない気がする。触れられない。
人間には触れてもいいことと悪いところがある。スペース、というのか。領域か。
でも気になる。そんな思いが胸の中で回っている。
そう思っていると、
『ねぇねぇトントンさん。』
「おん？どした。」
『幸せってなんですか』
難しいことを聞くなぁ。と頭をかきながら笑うと、向こうもふふふ、と笑う。こういう空間が一生続けばいいのに。
「分らんけどなぁ...いつもこうやってのんびりとした生活やないやろか。...Aは？」
『えへへ..今更だけど、普通の女の子になることかなぁ。』
『普通の女の子みたいに恋をして、結婚して、子供をもって最終的に旦那さんと二人になる生活』
この子本当に子供なのかと思う。
『....生贄なんてなりたくなかった』
俺の一番知りたい言葉は、運悪く聞こえなかった。

次の日、冷たい早朝。俺は体を起こしうぅ～寒。と言葉を漏らした。そしてそのあとはAを起こしに行くのが日課である。
彼女の部屋の前、そこに着いた瞬間何故だろうか。異様に足が冷えた。
空気が冷えた。喉が渇いた。手も悴む。瞬きができない。何故だろう彼女の部屋の扉が開けられない。呼吸が早くなる。血が巡る。脳に音が鳴る。震える。耳鳴りがする。

はっとした。扉を一瞬にして開けた。
あぁ、なんてこの世は無常なのだろうか。彼女は..彼女は....彼女は.....か...の...じょ...は
Aは.................。

く、くびをつった。

心構え、しとくべきだった。