6 : 兄 ページ6
…
物が雑多に置いてあると思っていたが、ロボロさんはミニマリストなのかもしれない。基本的に必要最低限以外の物は置いていない。
「 めちゃくちゃ綺麗ですね…… 」
「 そうかな?でも、物は少ない方かも。それより、アレルギーとか嫌いな物とかある? 」
「 特にないです。 」
「 この間、実家に帰ってお土産を買って来たから、もし良かったら一緒に食べようか。 」
「 実家って何処でしたっけ? 」
「 静岡県。偶に帰ってんねん。親父がひとりで暮らしてるから、心配で。 」
リビングのソファーに座る様に言われ、随分と座り心地の良いソファーに座らせて貰った。このソファーも高いのだろう。
ロボロさんに、紅茶とコーヒーの何方が良いかと尋ねられたので、私は紅茶と答えた。キッチンから温かい音がする。休みの日に、母親が朝食を作る音を聞くのが好きだった事を思い出した。
ロボロさんは、素敵なティーポットとティーカップを持って来てくれて、私の前に置いてくれる。とても良い香りがして、驚いた。
「 北欧紅茶のブレンドティーなんやけど、口に合うかな。 」
「 とっても良い香りですね……。ごめんなさい、戴きます。 」
「 どうぞ。熱いから、気を付けてな。後、静岡県のお土産の〈 うなぎパイ 〉と治一郎の〈 バームクーヘン 〉。もし良かったら、沢山食べて。 」
「 有難う御座います。どっちも大好物です。静岡県と言えば、このふたつですよね。 」
「 せやね。帰る時、少しお裾分けするわ。俺、ひとりじゃ食べ切れんし、持って行って。 」
良い香りの紅茶と、最高のおやつに涎が出そうになる。
ロボロさんは自室に消え、何かを動かす様な音がしていたので、卒業アルバムを探しているのだと思った。甘い香りの誘惑に負け、1口、美しいティーカップに口を付けてみたが、まだ暑くて断念。小さく舌を出して見せたが、ロボロさんは見ていない。良かった。
暫くすると、ロボロさんは高校の卒業アルバムを持ってリビングにやって来た。ロボロさんは私から見て斜め左のソファーに座り、卒業アルバムを机に置く。私が見易い様に、私の方に置いてくれた。
「 2010年の卒業アルバム。唯人が亡くなったのは卒業アルバムの個人写真とか、クラス写真が撮り終わった後やったから、普通に全部載ってる。これだけ見たら、死んだなんて考えられない位。 」
「 見ても良いですか? 」
…
62人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗枝(プロフ) - 猫さん» こんばんわ。コメント有難う御座います!結構、衝撃的なタイトルですよね。でも、タイトルで興味を持って頂けて、光栄です☺︎ 愛し合っているのに、否定される程、悲しい事はありません。天国で、幸せに暮らして欲しいな〜と思っています😆 (11月17日 17時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - コメント失礼します、題名に興味を惹かれ作品を読ませていただきましたピンク色が好きな彼、普通の人だったらと言うような母の発言、もしかして、、、と思いながら読み進めていき、やっぱり、、と胸が痛くなりました、最後の展開に最後のセリフに心がギュッとなりました (11月17日 13時) (レス) @page27 id: 41566ecef6 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 子羊さん» こんにちわ。コメント有難う御座います!子羊さん、色んな作品にコメント下さり光栄です😭 最後の台詞はとても悩みましたが、殺人?それとも……と言った所に特定的な言葉を使いたくて、これにしました。次回作も是非、楽しんで頂けると幸いです🙏 (9月10日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - あにの葬式、完結おめでとうございます!最後の夢主さんのセリフが特に好きで、もう何回も読み直しています。次回作も楽しみにしています! (9月10日 5時) (レス) @page28 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ