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5 : 兄 ページ5


 
 
 「 心配してたんよ。だって、当時はまだ小学生やし、唯人が死んだ事も理解してなさそうやったから。特に仲良かったやろ?ショックが大きいんちゃうかと、思っててん。やから、会えて嬉しいわ。元気そうにやってるんやね。唯人も喜ぶやろうな。 」
 
 
 私が無我夢中に生きている間、ロボロさんは私の事を心配してくれていたのだ。それがとても嬉しかった。
 
 
 「 確かに、当時は理解出来ませんでした。でも、大人になるにつれて、兄が死んだ事も受け止められる様になったんです。周りには兄が居た事も、死んだ事も話してないですけど、私の中で兄は生きているので、問題ありません。 」
 「 唯人は、Aちゃんの兄貴になれて、嬉しかったと思うで。こんなに立派に、育ってるんやから。 」
 
 
 ロボロさんが優しく微笑む事を、ミラー越しに見えた。そのまま、私は深い眠りに誘われ、気付いた時には意識を微睡みに手放していたのだ。あれだけ必死に起きていようとしていたのに、不可抗力だった。
 
 
 【 09 : 01 】
 
 
 「 Aちゃん、着いたで。 」
 
 
 目を覚ますと、後部座席のドアを開けて此方を見下ろすロボロさんと目が合った。飛び起きて状況を理解しようと頑張ってみたが、結論として、結局、私は寝てしまっていたのだろう。最悪だ。
 
 
 「 すいません。私、寝ちゃったみたいで…… 」
 「 いや、全然ええんよ。朝早かったし、疲れてたやろ。 」
 
 
 自分の荷物を持って、ヴェゼルから降りた。目の前に聳え立つ大きなマンションは、見るからに高級マンションだった。そう言えば、ロボロさんは何の仕事をしているのだろう。
 ロボロさんがヴェゼルを駐車場に停めてから、マンションに向かって歩き出す。
 少し緊張した。何も無いと分かっているのに、言い切れない事も分かっている。それに、こんな高級マンションに入る事は、全くない。エントランスでエレベーターを待ち、共に乗り込む。ロボロさんは、9階のボタンを押した。どうやら、このマンションは12階まであるらしい。
 エレベーターが開き、ロボロさんは903号室の前で鍵を出した。鍵を差し込みドアノブを回す。


 「 あまり、綺麗な家じゃないねんけど。どうぞ。 」
 「 有難うございます、失礼します。 」


 綺麗な家じゃないとロボロさんは行ったが、男性のひとり暮らしのイメージとは掛け離れた位、綺麗だった。

 
 …

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紗枝(プロフ) - 猫さん» こんばんわ。コメント有難う御座います!結構、衝撃的なタイトルですよね。でも、タイトルで興味を持って頂けて、光栄です☺︎ 愛し合っているのに、否定される程、悲しい事はありません。天国で、幸せに暮らして欲しいな〜と思っています😆 (11月17日 17時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します、題名に興味を惹かれ作品を読ませていただきましたピンク色が好きな彼、普通の人だったらと言うような母の発言、もしかして、、、と思いながら読み進めていき、やっぱり、、と胸が痛くなりました、最後の展開に最後のセリフに心がギュッとなりました (11月17日 13時) (レス) @page27 id: 41566ecef6 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 子羊さん» こんにちわ。コメント有難う御座います!子羊さん、色んな作品にコメント下さり光栄です😭 最後の台詞はとても悩みましたが、殺人?それとも……と言った所に特定的な言葉を使いたくて、これにしました。次回作も是非、楽しんで頂けると幸いです🙏 (9月10日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - あにの葬式、完結おめでとうございます!最後の夢主さんのセリフが特に好きで、もう何回も読み直しています。次回作も楽しみにしています! (9月10日 5時) (レス) @page28 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗枝 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2023年8月6日 2時

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