24 : 兄 ページ24
…
兄の事を模索するのも、兄の過去を掘り返すのも、全部、最後にする。私は明日から、兄が自 殺してしまっただけの、女子大生になる。
「 『 家族に遺書を書いた。今から、首を吊ろうと思う。寒いから、ロボロは家から出て来ちゃ駄目だよ。俺はロボロと出会えて、本当に幸せだった。沢山の楽しい思い出を有難う。ずっと、死ぬ迄一緒に居たいけど、居られないから、先に死ぬね。あの世で待っているから、ロボロは寿命を全うして、こっちに来てね。ロボロ、俺は幸せ者だよ。愛してるよ、ロボロ。結婚出来なくても、子供が産めなくても、俺達が付き合っていた時間が生産性のないお飯事だと言われても、俺はロボロが好きだよ。ずっと、愛しているよ。さようなら。 』 」
兄は恐らく、精神的に限界だったのだろう。愛する人と共に居る選択肢を選んだとしても、生涯を付き添う事は出来ない。優しくて、脆くて、愛情深い兄は、自らに向いた攻撃の矛先に、心を痛めた筈だ。傷だらけの体を抱き締める兄に気付けていたら、今頃、どんな生活をしていただろう。
もう、戻らない家族4人の生活。もう、会えない愛おしい人。
「 遺書を処分されたって言うてたけど、あれは多分、ご両親が遺したく無かったんやと思う。唯人が遺書に何を書いたかは知らないけれど、俺の事を書いたと思うねん。ご両親からすれば、驚きよな。自分の息子は、普通じゃなかったんやから。だから、処分したんやと思う。ご両親を責めたくなる気持ちも分かるけれど、責めないであげて。それが、Aちゃんに対するご両親からの、精一杯の愛情やねん。 」
ロボロさんは、ゆっくりと顔を上げた。瞳の焦点が確かに私を捉えた時、私も自分の瞳からポロポロと負の感情が溢れ出す感覚がして、次は私がしゃがみ込んだ。泣いている姿を誰かに見られるのは恥ずかしい。顔を覆い尽くし、肩を震わせる私に、ロボロさんは優しく、ただ1度だけ、頭を撫でてくれた。
温かかった。兄が愛した人は、兄と同じ様に、愛情深い人だった。
「 これから、どないすんの。 」
私が泣き終えて暫くした後、落ち着いた私達は部屋のしんみりとした空気に身を委ねていた。今は、何もしたくない。虚無と頭痛により、体がぐったりとしている。
「 普通の女子大生に戻ります。就活もあるし、頑張らないといけないので。 」
「 そうか。それは、1番最適な答えかもな。 」
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紗枝(プロフ) - 猫さん» こんばんわ。コメント有難う御座います！結構、衝撃的なタイトルですよね。でも、タイトルで興味を持って頂けて、光栄です☺︎ 愛し合っているのに、否定される程、悲しい事はありません。天国で、幸せに暮らして欲しいな〜と思っています😆 (11月17日 17時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - コメント失礼します、題名に興味を惹かれ作品を読ませていただきましたピンク色が好きな彼、普通の人だったらと言うような母の発言、もしかして、、、と思いながら読み進めていき、やっぱり、、と胸が痛くなりました、最後の展開に最後のセリフに心がギュッとなりました (11月17日 13時) (レス) @page27 id: 41566ecef6 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 子羊さん» こんにちわ。コメント有難う御座います！子羊さん、色んな作品にコメント下さり光栄です😭 最後の台詞はとても悩みましたが、殺人？それとも……と言った所に特定的な言葉を使いたくて、これにしました。次回作も是非、楽しんで頂けると幸いです🙏 (9月10日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - あにの葬式、完結おめでとうございます！最後の夢主さんのセリフが特に好きで、もう何回も読み直しています。次回作も楽しみにしています！ (9月10日 5時) (レス) @page28 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)
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