【 wrwrd! 】あにの葬式【 rbr 】

23 : 兄 ページ23

…
　

　パートナーシップ制度はあるけれど、それは家族になったと言う事では無い。同性婚が認められている国に、兄なら飛びそうだ。そこで、幸せに暮らす姿が目に浮かぶ。でも、日本に居る限り、それは許されない。
　どうして、なのだろう。
　
　
　「 今日、会った方ですか。 」
　「 ……俺は、真剣な恋をしたいと何時も思っとる。ちゃんと、真面目に、愛し合いたい。だって、このままひとりで死んでいくのは、想像しただけでしんどいから。それならせめて、俺が生きていた証を知っている人が欲しい。結婚出来なくても、子供は望めなくても、俺は自分の性を隠して、誰かと家族になりたいとは思っとらん。これは、我儘やと思う？俺は、ずっと、唯人の事が好きなんや。 」
　
　
　過去に囚われ続けているロボロさんは、悲痛な心情を私に明かした。


　「 互いの事を良く知ってから、交際したい。やから、何度も食事をするし、一緒に遊ぶ。だけど、食事が終わった後にホテルでセッ クスをする事もある。でも、そう言う奴とはもう、連絡なんて取れない。取らない。取ってくれない。こんなおじさんの事、抱いて気持ち良いのかも分からん。何時になったら、唯人の事が、忘れられるんやろう。 」


　生々しい独白に、自分の事では無いにも関わらず、辛くて、重たくて、気持ちが悪くなった。ロボロさんは、自分の事を、生まれて来なければ良かったと、否定しているのでは無いだろうか。そんな風に思って欲しくないのは事実だが、そんな風に思わせてしまう社会を作っているのは、誰だろう。私達だろう。


　「 唯人が、死ぬ前日。俺に、連絡が来た。 」
　「 連絡ですか？兄が？ロボロさんに？ 」


　初めて知る情報に、私は興奮気味に捲し立てる。ロボロさんは、全部知っていたの？兄が死のうとしていた事も、全部。それなのに、どうして、止めなかったの？


　「 最初、馬来田に虐められていたのは俺。それを唯人が庇って、標的が唯人になった。唯人は馬来田に何をされても、何を言われても、ただじっと我慢してた。俺に危害が加わらなければ、唯人はそれでええって言うてた。言うてくれてた。やから、俺は唯人の事をずっと好きでいようって。唯人と離れる事は、唯人を裏切る事になるから、唯人の側を離れないでいようって。俺に出来るのは、それだけやったから。 」
　「 兄は、何て言っていましたか？最期に、何て言っていましたか？ 」


　これで、最後にする。
　
　
　…

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