12 : 兄 ページ12
…
従兄妹の中でも1番歳上なので、色々と動かされる事は承知の上。
せっせと動いていると、なつほちゃんがキッチンの扉から此方を見ていた。景佑さんに仕事を手伝う様に言われたのか、重たい空気に耐え切れなくなって逃げて来たのか分からないが、なつほちゃんに話し掛けてみた。
「 なつほちゃん、どうしたの？ 」
なつほちゃんと話す時、関西弁が解除された。なつほちゃんは関西で暮らした事が無いから、標準語でやり取りを行う方が互いにとってとてもスムーズになる。多分、私はそう判断したのだろう。
「 唯人君が好きなお菓子を買って来たので、仏壇にあげたいんですけど、良いですか？ 」
「 態々、有難う。お兄ちゃんも喜ぶよ。 」
思い出した。なつほちゃんは特に兄に懐いていて、兄の事が大好きだった。兄が亡くなった時、6歳だったなつほちゃんは兄が亡くなった事を理解する事が出来ず、呆然としていたのを思い出した。今も、兄の事を慕ってくれているのだろう。
「 唯人君は、どうして亡くなったんですか？ 」
なつほちゃんから向けられた、素直で純粋な質問に、私は答える事を躊躇った。なつほちゃんも、子供では無い。社会で生きるひとりの人間として、あの頃とは違う。でも、話して良いのか悩む自分が居た。
「 色々あったって聞いたかな。 」
「 色々って何ですか？ 」
「 学校で、上手く出来なかったみたいで。 」
「 虐めですか？ 」
ストレートな問に、動揺する自分が居た。兄の自 殺を、負い目だと感じたくない。兄は何も悪くない。隠す必要はない。それなのに、どうして隠したい自分が居るのだろう。
「 ……そんな所かな。 」
「 アルバイト先の職場に、唯人君と同じ高校出身の社員さんが居ます。年齢は唯人君と同い歳です。 」
「 兄と、知り合いって事？ 」
「 そこまでは分かりませんが、彼が高校の卒業式の数ヶ月前に、自 殺したクラスメイトが居るって話は聞きました。 」
兄が死んだのは1月。卒業式は3月。もし、彼が兄のクラスメイトなら、ロボロさんが知らない事も知っているかもしれない。でも、なつほちゃんのアルバイト先なら、長野県な筈だ。兵庫県から長野県。何れ位、掛かるのだろう。
「 虐めですか？唯人君の自 殺の真相は。 」
心臓がドキドキする。大きな音を立てて、鳴るのはどうしてだろう。気が遠くなっていく感じがする。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗枝(プロフ) - 猫さん» こんばんわ。コメント有難う御座います！結構、衝撃的なタイトルですよね。でも、タイトルで興味を持って頂けて、光栄です☺︎ 愛し合っているのに、否定される程、悲しい事はありません。天国で、幸せに暮らして欲しいな〜と思っています😆 (11月17日 17時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - コメント失礼します、題名に興味を惹かれ作品を読ませていただきましたピンク色が好きな彼、普通の人だったらと言うような母の発言、もしかして、、、と思いながら読み進めていき、やっぱり、、と胸が痛くなりました、最後の展開に最後のセリフに心がギュッとなりました (11月17日 13時) (レス) @page27 id: 41566ecef6 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 子羊さん» こんにちわ。コメント有難う御座います！子羊さん、色んな作品にコメント下さり光栄です😭 最後の台詞はとても悩みましたが、殺人？それとも……と言った所に特定的な言葉を使いたくて、これにしました。次回作も是非、楽しんで頂けると幸いです🙏 (9月10日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - あにの葬式、完結おめでとうございます！最後の夢主さんのセリフが特に好きで、もう何回も読み直しています。次回作も楽しみにしています！ (9月10日 5時) (レス) @page28 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
