1 : 兄 ページ1
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【 1月15日 @ 06 : 59 】
神戸市は兵庫県内でも比較的に雪が降らず、真冬にも関わらず、とても歩き易い。しかも、本日は日曜日で、こんなに朝早くから電車に乗る人物は居ないのか、周りの音が随分とクリアに聞こえている。
今年の4月から大学4年生になる訳だが、就職活動に勤しんでいる最中だ。その話を兄にしたら、兄はどんな顔をするだろう。兄の経験出来ない未来を、私は必死に歩んでいる。
また、兄に褒めて欲しい。歳が離れていたから、特に可愛がって貰った。半分にしたおやつは、私に大きい方をくれたし、私がひとりで寝れない夜は、兄が布団の中に居れてくれた。
当時は、兄が死んだ事なんて理解出来なかったけれど、この歳になれば分かる。兄は、優しいが故に、脆かったのだ。だから、あんなに汚い廃ホテルで、首を吊ると言う所業を行った。兄の事を助けられなかった私にも、兄の死の責任はあると思う。
月命日に絶対に来ている此処は、私が見る度に古くなり、壊れていく様に見えた。心霊スポットとして有名になってしまったらしく、落書きも不法侵入者も増えている。壊れた硝子が地面に散りばっていて、踏まない様に気を付けた。
こんなに朝早いと何処の花屋も開いていないのだが、優しい友人の家族が経営している花屋は、月命日だけ私の味方になってくれる。特別に朝早くから私を招いてくれて、兄に見せる花束を作ってくれるのだ。毎回、兄の好きなピンク色を選んで作って貰うが、錆び付いたホテルの前では、とても映えていた。
存在感が強い方が、兄が何処に居ても見付けてくれると信じて、私は黄色の立ち入り禁止テープの目の前に置いた。手を合わせて、心の中で兄に語り掛ける。大学生活は順調にやっている事、アルバイトも長くやっている事、両親ともしっかり連絡を取って居る事、兄に心配させる様な事は何もしていない事。
私が神経を集中していると、奥の方から足音がして、兄が来たのかと心臓が飛び跳ねた。霊的な物は信じていないが、兄ならば是非とも会いたい。そして、私は兄に聞きたい事がある。何故、兄は死んだのか。私は、兄の遺書を私に見せる前に処分した父の事を、死ぬ迄、恨むつもりだ。
パッと振り返ると、兄に似ているが、兄では無い人物が此方に向かって歩いて来ていた。防寒着を着ていて、顔は良く見えないが、その背丈に見覚えがある。
「 ……ロボロさん？ 」
彼は、私を見て驚き、立ち止まった。
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紗枝(プロフ) - 猫さん» こんばんわ。コメント有難う御座います！結構、衝撃的なタイトルですよね。でも、タイトルで興味を持って頂けて、光栄です☺︎ 愛し合っているのに、否定される程、悲しい事はありません。天国で、幸せに暮らして欲しいな〜と思っています😆 (11月17日 17時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - コメント失礼します、題名に興味を惹かれ作品を読ませていただきましたピンク色が好きな彼、普通の人だったらと言うような母の発言、もしかして、、、と思いながら読み進めていき、やっぱり、、と胸が痛くなりました、最後の展開に最後のセリフに心がギュッとなりました (11月17日 13時) (レス) @page27 id: 41566ecef6 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 子羊さん» こんにちわ。コメント有難う御座います！子羊さん、色んな作品にコメント下さり光栄です😭 最後の台詞はとても悩みましたが、殺人？それとも……と言った所に特定的な言葉を使いたくて、これにしました。次回作も是非、楽しんで頂けると幸いです🙏 (9月10日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - あにの葬式、完結おめでとうございます！最後の夢主さんのセリフが特に好きで、もう何回も読み直しています。次回作も楽しみにしています！ (9月10日 5時) (レス) @page28 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)
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