【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

守護神とは ページ9

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澤村先輩は今度は日向たちの方に向き直って「ナイス！」と満足そうに笑って手を叩いた。


その様子を横目で見ながらぐちゃぐちゃにされた髪の毛を手櫛で整えていれば、日向がサーブのターンだと言うことに気がついて小走りでエンドラインの方へかけていった。

日向の「影山後頭部サーブ」はまだ記憶に新しい。またやるんじゃないか…と若干ヒヤヒヤしていたので、サーブが低くネットに遮られそうに感じた時には肝っ玉が冷えた。

しかし運が良く、ボールはネットイン。まさか狙ったのかと思わず日向の表情を伺ったが、さながら顔面蒼白といった表情で口を真一文字に引き結んだ日向を見て「あぁ偶然か」と少し安堵した。



菅原「ネットイン！」


「おっ、とっ！すまんカバー！」

「オーライ！」



日向の偶然ミラクルサーブに相手のコートは乱され崩され、しかし流石というべきかすぐに町内会の人がフォロー。


「ロン毛の兄ちゃん頼む！」と出された二段トスはとても美しくちょうどいい高さで、細やかなところもちゃんと丁寧だなと思わず舌を巻いた。

一見みれば完璧なトス。しかし今の東峰先輩にとってはかなり酷なものではないかと思い先輩の顔を伺えば、やはり表情筋が強張っていた。


菅原先輩の息を呑む声が聞こえる。キュキュッとシューズを鳴らしながら助走に入ってくる東峰先輩の奥に、眉根を寄せた西谷が立っていた。



澤村「ブロック、レフトオープン！」


田中「っしゃ止めんぞ！！」


月島「命令しないでください。」


田中「本気で行くっす旭さん！！」



前衛の田中、月島、影山がズラリとレフトに並んだ。ローテの中でもタッパがかなりある3人組だし、3人ともブロックがうまい。
そう、忖度はいらないのだ。忖度をしても、結局は何も生まれない。向こうの全力に、こちらも全力をぶつける。それがスポーツ。


懐かしいフォームでドンと床を力強く蹴った東峰先輩。大きく腕を振ってタイミング完璧に放ったスパイクは、無慈悲にも影山と月島のブロックの手に当たって落とされた。



東峰「っ…！」
影山「重っ…！？」



しかしよほど力強いスパイクだったのだろう、影山の手は大きく弾かれた。
1ヶ月ブランクあってもそんなに強いのか…と、地面に落ちてゆくボールを呑気に眺めていた時。


東峰先輩の足元にフライングで滑り込んできた西谷が、手の甲でブロックされたボールを拾ったのだ。

会場がどよめいたことは、無論言うまでもないだろう。


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