【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VI【男主】

仲間意識 ページ40

.




田中「ばっ、不用意にその名前を出すな…！！」



日向の発言により、田中が大袈裟に反応した。声をひそめながらも早口で冷や汗を垂らす田中に、隣にいた影山が驚いたようで肩を跳ねさせる。


しかし田中の言う通りである。その名前を不用意に口に出すことは、あまりお勧めできない。なぜって？



西谷「……。」



見ればわかるだろう。地面を睨みつけている西谷の顔が、恐ろしいことになっているからである。

東峰先輩の話は、今の西谷には地雷である。



西谷「烏野のエースだ、一応(・・)な。」



ある部分だけ強調して未だ厳しい視線を日向に移した西谷。顔が怖い。

いくらなんでも罪なき一年に向ける視線ではないだろう、ほら見ろ、日向もビビり上がって＿＿……



日向「エース…！！」



と、いうことはなく。なんと肝の据わったことか、その西谷の視線を受けている日向は爛々と瞳を輝かせて嬉しそうに呟いた。

正直言って変な人である。もしかしてそういう癖(ヘキ)とか…？？



西谷「なんだよ。」


日向「…俺、エースになりたいんです！」


西谷「…あ？」


影山「あいつまたあんなこと…！！」



日向の発言一つで、全員の視線が集まった。みんなの視線は、いいものとはいえない。

そりゃそうだ。烏野の現エースは東峰先輩だし、東峰先輩を慕って信頼している部員だって多い。


…今は東峰先輩がいないけど、それでもみんなエースは東峰先輩だと思っている。そんな東峰先輩の肩書きが欲しいと、中学卒業したてのちびっ子が騒いでいるのだ。

………正直、東峰先輩を信じて帰ってきてくれるのを待っている僕達にとっては、気分がいいとはいえない。


少々敵対心が滲んだ全員の視線が日向に刺さる。
ウチの連中は仲間と認めたものにはとことん甘く、敵と認めたものにはとことん厳しい。それはまるでカラスのように。


さて、この日向の発言を受けて、東峰先輩への思いが一番強いであろう西谷がどう出るか。今度は西谷へ視線が集まる中、彼は弾かれたように大声を出した。



西谷「その身長でエース！！いいなお前、だよな！！かっこいいからやりてぇんだよな！！いいぞいいぞなれなれエースなれ！！！今のエースより断然頼もしいじゃねーか！！」


日向「！？」



西谷が見せたのは、心の底からの笑顔。頬をうっすら上気させふるふると小さく腕を振る姿から、興奮しているのだろうと容易に察せれた。




.

花形ポジション→←不用意

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す