【東京リベンジャーズ】その狂犬、取り扱い注意 (ページ4)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:15,477 hit

第一話ページ4

〜Aside〜

ーー昨夜の一件から、一転して翌日の朝。俺は、久しぶりの休みにゆったりとした時間を過ごしていた。

広々とした一軒家の俺の家は、平日の朝にも関わらず一切の生活音が響いていない。それもそうだ。

何せ、俺の親と呼べるモンはとうの昔にこの家と俺を捨てて何処かに行っちまった。まぁ、俺にしちゃあそのことは嬉しかったがな。

ーー俺の親は、両方とも所謂ﾞド屑ﾞと言われるモノだった。母親は俺を放って、ホスト通いに浮気三昧。父親も同じようなモンだった。

父親は、風俗やらキャバ嬢やらに通い詰め。挙げ句の果てには、風俗の女との間に子供ができたとかで母親との喧嘩は日常茶飯事。

俺のことなんて、一回でもマトモに見たことはなかった。寧ろ、都合が悪くなると俺のことをサンドバッグ代わりに暴力を振るってきた。

まぁ、クソ中のクソ。そんな地獄みてぇな日常のある日、ぱたりと両親が家に帰って来なくなった。

家に数週間帰らないのはよくある事だったが、数カ月経っても帰って来ねぇ。

そうして、暫く経ったある日俺の中で何かがぷつりと切れた音がしたのだ。そうして、全てを悟った。

俺は、遂にあのクソ野郎どもにﾞ捨てられたﾞのだと。俺とこの家を捨てて、何処か遠くに行っちまったのだ。

そう思うと、俺の心はふっと虚ろになった。今まで、ナニカが俺の心を繋ぎ止めていたのは自分でも知っていた。

だが、その一件でその細く繋がっていた糸はぷつりといとも容易く切れたのだ。そこからだった、俺が一人で生きていこうと決めたのは。

元々、親がどうしようもねぇ奴らだったからか俺は親よりも家事全般はできていた。

それに加え、たんまりと金が溜まった通帳を親が家に置き忘れて行った。そこに関しては、あの二人には感謝している。⋯⋯ま、そこだけだけどな。

そんな事もあり、親の顔なんざ今ではロクに思い出せない。良い思い出なんて、俺にはねぇし。寧ろ、悪い思い出の方が大半だ。

ま、だから何てこともねぇがな。今は、あのクソ共がここから出て行ってくれたことに清々してるし感謝もしてる。

そう昔のことを思いながら、静かに窓を開ける。その瞬間、ふわりと涼しい朝の風が入り込んで来た。

貴「ン、涼しいな⋯⋯。ま、これからまた暑くなんだろーけど。はぁ、夏はメンドーだな暑苦しくて」

そう、ポツリと呟きながら外を見ていると近くに置いておいたケータイが小さなバイブ音を鳴らした。