【名探偵コナン】Silver Bullet (ページ6)

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心底不思議そうな声を漏らす遼。けれど、流石に俺とてこの大きなショッピングモール内に陽の光が多く入って来ないのは知っている。

寧ろ、遼にキャップを被せたのは太陽の光よりももっと厄介な゛人の視線゛から遠ざける為だしな。

貴「太陽の光よりも、厄介なモノがあったからな。暫く被ってろ」

遼「？うん、分かった。けど、何で抱っこするの？僕、一人でも歩けるよ」

貴「こっちの方が周りが見易いだろう。それに、抱き上げていた方が何かあった時に楽だからな」

そう、少し言い訳じみた言葉に目を閉じる。⋯⋯何だかんだ、子供じみた発言になってしまったな。ストレートに言えれば良いが、難しいものだ。

昔、父さんが言葉はどんな物よりも難しいと言っていた事を思い出す。感情は表情などの表に出るが、言葉となると自分の口で音を紡ぎ意味を綿密に織る、細かい作業のようだと言っていた意味が今はよく分かる。

⋯⋯そんな悶々と考えている俺を他所に、遼はぱちぱちと目を瞬かせた後酷く嬉しそうに笑い被せたキャップを目深に被り直して、自分の表情を隠すように俺の胸元に顔を埋めた。

何を恥ずかしがっているのかは謎だが、あまり考えても仕方がない。それに、母さんから俺と遼は兄弟として接する機会が少ないから今のうちに楽しんだ方がいいと言われていたしな。

ーーコレはコレで、悪くないのかも知れない。世間一般的な兄弟の触れ合いとして合っているかは置いておいてだ。

そうして、俺と遼で玩具コーナーをぐるりと一周した頃。ズボンのポケットに入れていたケータイからバイブ音が鳴った。

ポケットから取り出してみると、画面には゛母さん゛の文字が浮かんでいる。そのまま、電話に出ると柔らかな声がすぐに聞こえてきた。

母『Hi,Aちゃん〜』

貴「母さん、電話してきたって事は買い物は終わったのか？」

母『ふふ、正解。今、冬夜さんと合流したところよ。Aちゃんと遼ちゃんは、今何処にいるの？』

貴「四階の玩具コーナー。一通り見終わってたから、ちょうど良いタイミングだったよ」

そう言えば、電話越しに小さく笑う母さんの声が聞こえる。⋯⋯何がそんなに、面白いのかは不明だ。

母『そう〜、遼ちゃんね。貴方がいつも他のことに手一杯で、遊べてなかったから今回一緒にお出掛けできるって喜んでたのよ？だから、一緒にそうやっている事ができて嬉しいと思うわ。⋯⋯たまには、二人で兄弟らしく話せたかしら？』