【まほやく×FGO】マスター、異世界へ行く (ページ3)

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ーー「やぁ」。突然、耳元で聞こえてきた声に私が驚いて顔を上げる。すると、私の目の前にふわりと一つの帽子が現れた。うん、もう一度言おう何故か゛帽子だけ゛が現れた。

貴「⋯⋯え？」

私は目を疑った。何せ帽子が宙に浮かんで、しかも話しかけてくる。あまりの突飛な光景に、私はその帽子をジッと見ているとまたもや帽子は声を上げた。

？「ようこそ、賢者様。エレベーターの行き先は、私がご案内いたしましょう。私は西の魔法使いの゛ムル゛。行き先は〈大いなる厄災〉によって、壊れかけた世界。お会いできて光栄です、愛しい賢者様」

そう、帽子が名前と思われるソレを口にした瞬間。キラリ、と星が閃くようにして一人の青年が突如として現れた。紫色の髪に青緑色の瞳を持った、人当たりの良さそうな表情を浮かべている。

その姿にまたも、呆気にとられるが少しだが警戒して後ろに後退る。突然現れたことと言い、サーヴァントか？などと疑う。気配遮断なら暗殺者(アサシン)が妥当だが今目の前にいる青年は己を゛魔法使い゛と称した。

ならば、魔術師(キャスター)か？とも疑う。だが、この人物が私を此処に呼び出したかと問われればまた違うような気もする。

そう、少し疑いながらも私はゆっくりとそのムルと名乗る青年を見やった。そんな私の姿を見ても、特に何も言わずにこりと笑みを浮かべムルさんは話を続けていく。

ム「これから賢者様を、少しばかり、厄介なことに巻き込むかもしれません。さて、厄介事には色々あります。色恋沙汰、名誉に戦争、家族、恋人、仕返し、恩返し⋯⋯。今回は、その中で、もっとも厄介な問題！」

そう、ぴんと人差し指を立ててにこりと微笑んだかと思えばムルさんは静かに私に対しその゛厄介な問題゛を口にした。

ム「世界救済。貴女にその手伝いをして欲しいのです」

ーー゛世界救済゛。その言葉に、ドクンと大きく心臓が脈打ったのはきっと気のせいじゃない。その言葉は、何度も何度も聞いてきた言葉。汎人類史、世界、救済、白漂化された全て。

それらが、脳裏に一瞬で過ぎる。まさか、私が呼び出されたのはこの為⋯⋯？私は酷く動揺しながら、戸惑いの表情をムルさんへと向ける。

すると、そんな私にムルさんはにこりと微笑んだ。

ム「もうすぐ、辿り着きますよ。世界も、私も、随分と滅茶苦茶になってしまいましたけど⋯⋯」