case 50 《完》 ページ50
近くのイスに腰掛けて、玲於が希美の言葉を伝えてくれる。
希美は私の事をよく分かってくれていて、心配してくれてる気持ちも伝わってきて
止まっていた涙がまた溢れてきた。
私が落ち着くのを静かに待って
玲於は、ゆっくりと話し出す。
「俺、Aと離れた後、自分の中ですげえ葛藤した。
まだやり直せるんじゃないかって、別に別れなくていいんじゃないかって…何度も連絡取ろうかと思った。
でもAが俺の為に別れを選んだ事を無駄にできねえし、絶対恥ずかしい姿は見せらんねえと思って、
辛い事があっても頑張れた。
会えなくても、俺をずっと支えてくれていたのは
Aなんだ」
そう言うと
玲於は私の前にしゃがみ込み
私の手を両手で握って、真剣な眼差しで見あげる。
「A…」
私の名前を呼ぶ、玲於の優しい声。
トクントクンと
2年前と、同じ時を刻み出す…
「…好きだよ。
今でもずっと、
俺にとって、Aは大切な存在なんだ。
…もう一度
もう一度、俺と付き合ってくれませんか？」
こんな日がくるなんて
突然すぎて、今の状況が信じられなくて…
『夢…？』
震えてる頬に、玲於の手がそっと触れる。
「夢じゃねーよ」
その手から玲於の温もりを感じて…
私は玲於に飛びついた。
「ごめんな」
玲於は床に尻もちついた状態で私を受け止め、優しく抱きしめ返してくれる。
周りから、あれ玲於じゃない？とか聞こえてくるけど
玲於の手は迷いがなくて、
私を、離さなかった。
「もう、不安にさせないから」
力強く言う言葉に、私はまた泣き出す。
「やっぱ泣き虫は治ってねー」
『嬉しい時はいいの！』
あの時と逆で
泣いている私を抱きしめてくれる玲於がすごく逞しく感じて
少し体を離して
まっすぐ玲於の目を見つめる。
・
『大好きだよ。玲於』
私も、もう迷わない。
差し出された手を、ぎゅっと握る。
お互い、幼くて一度手放してしまったけど
今の私たちなら、大丈夫だよね？
今なら
あの時より自信を持って玲於の隣にいれる。
繋いだ手のぬくもりから
玲於の気持ちが伝わってきて
もう二度と
この手だけは離さないと誓う。
私たちは同じ方向を向いて
ゆっくりと歩き出す。
二年前の続きを
ここから
また、始める為に…
ーMy Only Love ー
《完》
終わり
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あず(プロフ) - 愛利さん» そんなに感動して頂けるなんて…書いて良かったです！ありがとうございます！！ (2016年10月20日 19時) (
レス) id: 9b3d990a2d (このIDを非表示/違反報告)
愛利 - 一気読みしちゃいました！最後のところ感動しすぎちゃって枕ビチャビチャです（笑) (2016年10月18日 19時) (レス) id: 183501c55e (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - ｍｉｌｋさん» 感想嬉しいです！最後まで読んで頂いてありがとうございました！！ (2016年5月9日 8時) (レス) id: a67bb7e532 (このIDを非表示/違反報告)
ｍｉｌｋ - めっちゃ感動しました！！面白かったです！ (2016年5月8日 22時) (レス) id: 62df234d60 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - ぴーなっつさん» イメージと合っていて良かったです！感想嬉しかったです☆ありがとうございます！ (2016年3月28日 19時) (レス) id: 7ee4db9f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年4月25日 8時
