case 42 ページ42
希美と別れて、1人電車に揺られる。
玲於、気づいたかな
こんな時期に心配かけたくないのに…
忙しい中でも、玲於なりに私の事を考えてくれているのは分かる。
なのに
何でもっと、どっしり構えていられないんだろ…
「A？」
急に名前を呼ばれて顔をあげると、懐かしい人が立っていて
昔好きだった人…雄哉だった。
「何かあったのか？」
泣きそうな顔をしている私を見て、雄哉は驚いている。
『……』
何も言えない私に「ちょっと話しないか？」と誘ってきた。
電車を途中で降りて、駅前の小さなバーに入り
カウンター席に座る。
「付き合ってから、こんなに会わなかったのって初めてだよな」
飲み物が運ばれて来て2人でグラスを合わせ
雄哉が口を開く。
雄哉とは5年付き合って
その間別れたり戻ったりって繰り返していたけど
今回みたいに1年も離れていたのは初めてだ。
「彼氏とはうまくいってないの？」
何も答えられなくて
グラスの中で動く氷をぼんやりと見つめる。
「俺ら…もう一度やり直せない？」
それは予想もしていなかった言葉で
驚いて雄哉の顔を見ると、真剣な目でこっちを見ていた。
「俺、どうせAはすぐ俺のとこに戻ってくるってどっかで思ってた。
だから今回も、そう思ってた。
正直別れた後も付き合ったヤツいるけど、やっぱAがいいって
こんなに離れてみて、改めてAじゃなきゃダメだって思ったんだ」
もう二度と裏切らないからって
雄哉の言葉に、心が揺らぐ。
今日誘われて着いてきたのも
誰かに頼りたい気持ちが少しでもあったからだ。
でも、
ここで雄哉を頼ったら、昔の私と同じだ。
何も成長してない。
それに
玲於に軽蔑されるような事はしたくない。
私は、自分の足で立たなくちゃ…
『ごめん。雄哉』
「もう迷ってもくれないの…？」
雄哉が哀しそうな目をするけど
『ごめん。ありがとう』
私の心は固かった。
「なんか、変わったな」
『え？』
「強くなった」
それは、きっと玲於のおかげだ。
私はずっと、迷っていた事に決心がついた。
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あず(プロフ) - 愛利さん» そんなに感動して頂けるなんて…書いて良かったです！ありがとうございます！！ (2016年10月20日 19時) (
レス) id: 9b3d990a2d (このIDを非表示/違反報告)
愛利 - 一気読みしちゃいました！最後のところ感動しすぎちゃって枕ビチャビチャです（笑) (2016年10月18日 19時) (レス) id: 183501c55e (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - ｍｉｌｋさん» 感想嬉しいです！最後まで読んで頂いてありがとうございました！！ (2016年5月9日 8時) (レス) id: a67bb7e532 (このIDを非表示/違反報告)
ｍｉｌｋ - めっちゃ感動しました！！面白かったです！ (2016年5月8日 22時) (レス) id: 62df234d60 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - ぴーなっつさん» イメージと合っていて良かったです！感想嬉しかったです☆ありがとうございます！ (2016年3月28日 19時) (レス) id: 7ee4db9f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年4月25日 8時
