GENEと恋うた２～SOUND OF LOVE～ (ページ14)

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仕方ないなあなんて軽口たたいて

内心嬉しいくせに…

『あれ、こっちじゃないのかな』

Aが携帯の地図を見て、くるくる回して道を確認しながら

本当、何にでも一生懸命。

なんか、かわいい、なんて…

「貸して」

Aから携帯を取り上げて
自分で確認。

頼れる所を見せたくて、カッコつけてみたり。

「一本筋ちげーし」

『うそ？』

一緒に携帯の画面覗き込んできて

ふわっとシャンプーの香りが鼻をくすぐる。

どくんと、心臓が跳ねて

急に、今の状況がリアルに感じてきて…

そういや、店以外で2人で会うのは初めてかも…。

こうやって並んで歩くのも初めてで

これって…

デート、じゃね？

また急にドキドキ。

いつもの仕事の時とは違う格好。

スカートとか初めてかも。

Aってこんな背高かったっけ？

あっ、そっか。

靴のせいだ。

ふわりとしたロングスカートに、少し底の厚いスポーツサンダル。

俺とそんな変わらない？

真横を見ると、一応目線は俺の下。

「あっぶね…」

『何が？』

思わず漏れた心の声にAが反応して

目の高さが同じぐらいだから、結構近い距離で目が合う。

「何でもない、です…」

『何？どうしたの？』

ドキドキして、思わず敬語使って

Aがけらけら笑ってる。

少しでも男に見られたいとか

子供扱いされたくないとか…。

あー

かなりテンパってんなー俺。

その後すぐ店ついて、少し出来た行列に俺が並んでる間、Aが席を確保しに行く。

カップルみたいな役割分担して、なんかくすぐったい。

ミルクティを二つ受け取って、窓際のカウンター席に座るAを見つける。

少し遅い時間だからか、女同士よりカップルのが多い。

俺らもそう見えんのかな。

なんか胸がいっぱいになってきて、タピオカが喉を通らない。

『口に合わなかった？』

「そんな事ないけど…」

『私の料理で舌が肥えたかな？』

俺が元気がないと思ったのか、冗談ぽく笑って。

Aのが傷ついてるくせに。

「…そうかも？」

『ふふ、また作ってあげるね』

料理を褒めるとマジ嬉しそう。

その笑顔が見れるなら

いくらだって褒めるし

いくらだって食べるのになあ。

『そろそろライブ用のメニューにしなきゃね』

身体を作っている俺の為に

飽きないように、美味しく食べれるように

色々考えてくれる。

深い意味なんて、これっぽっちもない。

それ、結構残酷って

気づいてる？