悪魔な女子の青春《5》

･ ページ13

「……えっ」




「しなっ……えっ

なんで？」






困惑の表情を浮かべながらカルエゴに問えば





「決まっている





足りないからだ(・・・・・・・)」







ヒラリと手にしていた1枚のプリントを机に戻しながら答えた





「私は“教職員全員の許可書”がいると言ったはずだ


これは教員36名分…




しかし教職員は
食堂従業員、売店員、清掃員、図書司書など


全て(・・)含まれる


この悪魔学校(バビルス)に従事する全員ということだ」






先程までやってやったぞというような顔をしていた入間たちは一気に冷めた




「なんだそれは！！」

「ずっる！そんなこと一言も言ってなかったのに！」

「フン 認識の違いだな」







「カルエゴ卿いくらなんでも……「粛に」」




言いかける入間の言葉を遮る






「粛にせよ

貴様らはいつもそうだ

物事を深くまで考えない


面白そうだと簡単に手を出す


火をつかもうとする子供のようにだ




貴様らが手を出しているのは 業火(ごうか)だ





この魔界(世界)の礎(いしずえ)を築いた御方が残した高貴な業火…




この学園が守ってきた尊き遺り火に触ろうというのなら




私は学園の門番として

その首を噛みちぎる義務がある」




カルエゴの姿が一瞬人間の世界でいう、地獄の門番ケルベロスの姿に見えた

そいつは今にも、入間と入間の後ろに待機するクラスメイトに噛みつきそうだ



「思考力のない者はただの道化だ

そしてその火の輪で 身を焦がす」



目の前のカルエゴに思わず息を飲んだ




「まぁ これだけの許可書を集めたことは評価しよう


現教室の補習くらいなら打診してやる


だが【王の教室(ロイヤル・ワン)】への移動は認めん



それでこの件は終わりだイルマ…『あーー！長いっ！長すぎますよカルエゴ先生』」



この話を終いにしようとするカルエゴに今まで静かにしていたAが突然大声を出した




「今まで黙っていたと思ったらなんなんだ貴様は」

『だって、カルエゴ先生が業火がどうたらこうたらと…ほんと話が長すぎます


でもおかげで


あなたのあほ面が本当に拝めそうです』


「…どういう事だ」




彼女はニヤリと楽しそうに笑った


入間でさえ表情を崩したというのに

彼女は何も変わっていない


余裕のあるいつもの笑み









コンコンっ





「イルマくんいるー？」

･→←道化師の奇跡

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す