actors' 9

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返答に困っていると、ポツリと文哉くんが言った。












高橋「なんか、嫌だな……………。」













宮脇「え？」












高橋「仕事なのは分かってるけど………。












Aちゃんのそういう姿が何千人もの人に見られると思うと















なんかやだなって。ほら、映画の現場には人も多いし。」













宮脇「文哉くん……………。」













私たち、“俳優”という職業は特殊だ。













さまざまな人のさまざまな人生を演じて、













それを多くの人に見てもらうことが仕事。











宮脇「文哉くんにそんなこと言われると思わなかった。」















高橋「大事な同士だからね。ちょっと嫌だよね。」












宮脇「そんなこと言ったら、私だってそういうことあるよ。













文哉くんが恋愛ドラマいっぱい出てると、なんて言うか
















……………すごく、複雑な気持ちになる。」














高橋「え、複雑？」












宮脇「やっぱり演技だから多少は文哉くんとは違う。














違うからそれが違和感っていうか。












『君花』のときとか、文哉くんってあんなツンツンしてないから













上手だったけど、めちゃくちゃ違和感しかなかった。」












高橋「……………なんだ、お互い様？」












宮脇「そうみたい。お互い様。」











高橋「それならよかった。俺ばっかりそう思ってるのかと思ってた。」














宮脇「そんなことなかったね。」












高橋「ね。」













そんなことを話していたら自然と笑みが溢れてきて













電話越しに文哉くんと笑い合った。
















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高橋「……………ねぇ、Aちゃん。」












宮脇「うん？どうしたの？」














高橋「あの、今から会いに行ってもいい？」














宮脇「……………へ？」














高橋「いや、最近会えてないから電話したんだけどさ













声聞いたら、直接会いたいなって思っちゃって。」















電話口からちょっと緊張した文哉くんの声が聞こえてくる。












宮脇「……………いい、よ……………。」











高橋「え？」

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