actors' 9

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田中「変なこと言うなよ、叔父さん。












…………お前も、そんな目で俺を見るな。











残念ながらこいつは、『ただの』後輩。












サークルの新歓に来てたけどすげーつまんなそうだったから











つまんなくないところに連れてきただけだよ。」













坂本「なんだ、そうだったのか。














初めまして、うちのがお世話になってます。










ここのバーのマスターの椎森和樹です。












とりあえず座って、二人とも何飲む？」











田中「俺、いつものお願い。こいつは……あー、












まだ未成年だからさ、ノンアルで美味しいやつ。











叔父さんのセンスでお願いします。」











坂本「おっけ。お嬢さん、苦手なものとかある？」











宮脇「特には……。あ、ミント苦手です。スッとするから。」











坂本「オッケー、じゃあ作っていきますか。










あ、そういえば名前まだ聞いてなかったよね？」












宮脇「美幸です。高槻美幸。」











坂本「みゆきちゃんね、どういう字を書くの？」










宮脇「美術の『美』に真田幸村の『幸』です。」










坂本「……あぁ。素敵な漢字だね。」












宮脇「ありがとうございます。」










坂本「じゃあ、美幸ちゃん。作ってくるので少々お待ちください。」










宮脇「はい、よろしくお願いします。」












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田中「なんであんな回りくどい言い方したの。」










宮脇「え？何がですか。」











田中「名前の漢字。なんでわざわざ回りくどくしてるのかなって。












真田幸村の『幸』です〜とかさ。










シンプルに『美しい』に『幸せ』で『美幸』です。










それじゃだめなの？」










宮脇「名前負けしてるんですよ、私。










両親は美しく幸せな人生を歩んでほしかったらしいけど












実際の私の人生なんて、名前とはかけ離れてる。










なのにそんな説明できなくないですか？」












田中「お前がなんでそんな風に言うのかがわかんねぇよ、俺は。









顔は誰が見ても整ってる方だって言うと思うし、











大学に進学できるってことは家庭的にも恵まれてんだろ？」

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