actors' 9

. ページ36

木村「今日は大丈夫だった。商談上手くいったらしいから










比較的機嫌が良かったみたい。ありがとう。










美幸が帰って来てくれて助かった。」











宮脇「玄関にある革靴みてひやっとした。










殴られてないならとりあえず安心ね。」











木村「そうね。あぁ、おやつにしましょうか？」










宮脇「うん。今日のおやつ何〜？」











木村「今日はね、ブールドネージュを作ったの！」









宮脇「ほんと！私あれ大好き！！」











木村「でしょ？早速食べましょう、手を洗ってきて。」










宮脇「はーい！」









母は、病弱だが優しい人だった。










いつだって私の味方で、一番の理解者で









母親であり親友のような存在だった。










それに対して父は、力で自分の思い通りにする











怖くて逆らえない存在だった。











_____________________________________________












父は家庭内暴力を振う人だった。










その矛先は基本的に母に向いたが、私に向くこともあった。









当時中学生で平均身長を大幅に下回っていた私が、














力で成人男性に勝つことなど、できるはずがなかった。









身体の洋服で隠れて見えない部分に、何十もの痣を付けられた。










商談が上手くいかなかったとき、部下がミスしたとき、









単にイライラしていたとき。







そんなとき、母と私は父のサンドバッグと化していた。









そんな家庭での姿とは裏腹に父は、外面が良かった。










有名企業の重役であるにも関わらず、家族サービスを忘れず









いつも家族のことを考えている愛妻家であり子煩悩。









それが周囲から見た暴力男の姿だった。









母は若くして両親を亡くして天涯孤独となっていたため











親戚に頼ることはできず、友達はほとんど父と共通の知り合いだったため










いわゆる八方塞がりという状態だった。











そんな、病弱で家にいることしかできない母と









無力な中学生の私は結局、父に頼る他なかった。










当時、周りの友達は既に自分のスマートフォンを持っていたが










『中学生にはまだ早い。』という理由で











私はまだ持たされていなかった。

.→←ただ、愛されたいだけだった。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す