知り合い(仮) . (ページ29)

今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:117,747 hit

お願いページ29

・

「手首、ちゃんと冷やしてくださいね。」

『はい、今日はほんとにすいませんでした。』

「ありがとうの方がいい。」

『あ、ありがとう…ございました。』

宮近さんはにっこり笑った。

「1人で大丈夫？」

『はい、もう大丈夫です。ありがとうございます。』

ほんとは少し怖かったけど、これ以上我儘なんて言えない。

「じゃーまたね。」

宮近さんの後ろ姿を見届けてから家に入った。

家の中にいても、気配を感じる。

ベットに横になっても、怖くて目を閉じられない。

あーだめだ。

そう思って、少し気分転換にベランダに出た。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

＂海斗＂

『はい、何かありましたか？』

「きっと寝れてないんだろうなって思って。」

『あー正解です(笑)』

「やっぱ怖い？」

『少しだけ。でもすぐに寝れると…』

「Aさん、下見て？」

『え？何してるんですか？』

ベランダから見下ろすと、もう家に帰ったはずの宮近さんがいた。

同じ格好のまま。

「そんな格好してると風邪ひくよ？」

『宮近さんこそ、何してるんですか！』

「もう頼ってくれなさそうだから、頼られ待ち。」

『え？』

「怖いなら怖いって言って欲しいし、俺はAさんにもっと頼って欲しい。」

『なら、一つだけお願いしてもいいですか？』

「なに？」

『ピアス、あけてください。』

「え？」

『私最近、宮近さんがくれたピアスのことばっか考えてて、』

「それって…」

『宮近さんとお揃いのピアス、つけたいです。』

電話が切れた。

そしてすぐ、声がした。

「Aさん、ドア開けて。」

私がドアを開けると、宮近さんは冷たい手で私のほっぺをグニグニした。

『え、ちょっと何してるんですか。』

「え？愛情表現。」

宮近さんの言葉はいつもまっすぐだ。

『やめてください(笑)』

「あんま嫌そうじゃないけどね〜？(笑)」

そしてとてつもなくズルい。