知り合い(仮) . (ページ30)

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『今日、ピアッサー買いに行ってたんです。』

「1人で？」

『はい、急に買いに行きたくなっちゃって。』

「次からは危ないから誰かと行ってね？」

『私友達いないんです(笑)』

「なら俺に連絡して。休みだったら車出すから。」

『宮近さんって優しいですよね』

「そう？Aさんにだけかもよ？」

『思わせぶり、やめてください(笑)』

「俺前に会った時に言ったでしょ？(仮)が取れるように頑張るって。」

『宮近さんと私はもう充分知り合いだと思いますけど』

「んー俺、Aさんのことなんか気になるんだよね」

『妹みたいな？』

「あーそれかも、なんかスッキリした。あ、ピアスあけよっか」

自分で言った言葉だけど、何故か少し心が痛んだ。

保冷剤で耳を冷やして、あとはあけるだけ。

でもいざあけるとなるとやっぱり怖くて

『いや、あの、ちょっと待ってください…』

「もうやめとく？(笑)怖いんでしょ？」

こんな夜にお願いしといて、あけないなんて出来ない。

『いや、あけます！』

私の我儘に笑って付き合ってくれる宮近さんはほんとに優しい。

「A。」

『あ、え？はい？』

ｶｼｬｯ

「はい、ピアスあいたよ」

『え、もうあいたんですか？』

少し痛かったけど、ほんとに一瞬だった。

「うん。反対もあける？」

『とりあえずは片方でいいです。ありがとうございます。』

「安定したら、片方だけに宮近さんのピアスつける？」

『そんなこと言ってません(笑)』

「ねえ、Aさんのお願い聞いたから、俺のお願いも聞いてくれる？」

『はい、できることならなんでも。』

「宮近さんって呼ぶの禁止。」

『え、それは困ります。』

「なんで？元太は元太くんなのに？」

『元太くんは特別です。』

「はやく。」

『聞いてました？』

「うん、聞いてた。俺呼んでくれるまで帰らないから。」

そんな目で見られて、呼べないとは言えない。

『か、海斗…くん』

「なに？Aさん。」

『私のことはAさん呼びのまま…』

「嫌だった？」

『いえ。』

「顔に出てたけど？」

『…っ！』

「A？ごめんね、意地悪しすぎた(笑)俺帰るね、また連絡して。」

私は気づいてしまった＂好きかもしれない＂という気持ちに。