４８ｰ４.巻き込まれ系男子と落ち着く頃に ページ8
私の家は元々はある傘下に従う血筋のひとつだったんだよ。そう話すAの表情はいくらか固かった。
飄々と自由に生きることを好む彼女は、もしかしたらそういった生き方にトラウマに近いものを持っていたのかもしれない。時折彼女からはそういう反発心が見える。自我が強いのだろう。
「でも三代目でかなり多くの仲間と一緒に足を洗っちゃってねえ。怒らせちゃったもんだよー」
なんだか衝撃的な事実をさらりと言われたのは気のせいか？
マフィアから足って洗えるんだろうか……。俺も今から十代目目指さない道選べるかな……。
遠目になっていると、Aは｢ツナ聞いてる？｣と苦笑した。
慌てて聞いてるよ！ と向き直る。
｢まあそんなこんなで私は田舎で見つからないように暮らしてたってわけ。……だから、あのファミリーの傘下であった事実なんて私にはないし、これからもないよ｣
信じてくれる？ と眉を下げた彼女に、うんと頷く。
｢草凪さんの言うことなら信じるよ。その……俺に何が出来るかはわかんないけど、絶対助けるから！｣
身を乗り出すと、Aはぱちぱちと目を瞬かせた。
そしてふっと嬉しそうに一瞬だけ笑うと、瞬きをした隙にまたいつものにやりとした顔に変わっていた。
｢さっすがツナ！ じゃあ早速あのファミリー滅ぼしちゃおうね！｣
｢えっ……！？｣
｢なあに間抜けな顔してるの？ 当たり前じゃ〜ん、人のもの勝手に盗るのは泥棒だからね！ マフィアだろうと許されないの！｣
｢そ、そうなの？｣
｢そうだよぉ！｣
なんて笑いながら言っている彼女はどこまで本気なのだろうか。
え、いや、滅ぼす……？ ファミリーひとつを……？ いいのか……？
ぐるぐると考えていると、どこからともなく現れたリボーンが｢当たり前だぞ｣と言う。
｢マフィアでもやっちゃいけねえことはある。それをやっちまった場合は、周りから制裁を下されるんだ。お前も覚えとけよ｣
いや俺マフィアなんないし！ との言葉は無視され、Aとリボーンはきゃっきゃとどうやって相手を陥れるかを相談している。可愛らしい女子供がどうしてそうなった。
盗られる前だと証拠不十分だから特攻はやめておこう。その代わりAが囮として相手に奪われた後に攻撃をしよう。このことは大々的に裏社会に轟かせねば。今後一切、ボンゴレファミリーに手を出そうと思うような輩がいないように。
そうして数日後、本当に彼らは極小とは言え、ファミリーをひとつ潰したのだった。
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作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2016年10月9日 1時
