４８ｰ２.巻き込まれ系男子と落ち着く頃に ページ6
どういう訳なのか、ツナには全く考えられなかった。
草凪さんが？
他のファミリーの傘下に？
おどおどするだけでなく、名前を提示されてもまだ理解できずにいるツナに、男は眉を寄せた。そこに影が出来、目元が暗くなることで更におっかなく見えたのは、見てしまった人がツナでなくとも仕方がない。
「あいつが他のファミリーにいただなんて聞いてねーぞ。どういうことだ」
リボーンの高い声に、男が目を向ける。
「知らないとは言わせねえ。いくらあんたらが最強のボンゴレファミリーだろうと、けじめはつけてもらわけねとな」
だから、とリボーンの口を挟ませず、男が踵を返して車に乗り込んだ。開いた窓ガラスから勝手にも台詞を吐いて。
「今度改めて部下に迎えに来させる。あの女にも伝えておけ」
ちっ、とリボーンが舌打ちをする。が、車のエンジン音はそれをかき消すようにして男らは去っていってしまった。
威圧も消え、静かになった住宅街に安心したツナがへなへなとその場に座り込む。
「なん、だったんだよぉ…一体……」
「さあな。あいつがボンゴレに入ると決めたときにそんな情報はなかったはずだ。あいつに直接確認するしかねえだろ」
それを聞き出すのは確実に自分の役目だ。そんな。気不味い。ツナは反論しようとリボーンに「まさか……！」という目を向けたが、にやりとしたあの嫌な笑顔で返される。ひっ、と喉で叫んだツナは尻餅をついた状態で後ずさりした。
「ボスの役目だ」
いや。多分、絶対違う。
＊＊
聞き出すのが面倒だ。何よりうんそうだよと肯定されたら自分の心が持たない。ツナはため息をつきつつ、スクールバックをぎゅっと抱き締めた。皮肉なほどに晴天である。もう一度ため息。
教室に入って、そして友達に囲まれてるであろう草凪を連れ出して___ああ、嫌だ。
とにもかくにも、リボーンに言われたらやるしかない。意気込んで教室へ足を踏み入れる……。
「やっほツナ、なにやってんの」
「ひぎゃっ！？」
「やだなぁ、そんな潰れた小動物みたいな声」
けたけた笑う美少女は、タイミングよく音もなく背後に立っていた、なんて、最早計算された嫌がらせにも思えたが、用件の為にツナは滲む涙を引っ込ませた。
４８ｰ３.巻き込まれ系男子と落ち着く頃に→←４８ｰ１.巻き込まれ系男子と落ち着く頃に
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2016年10月9日 1時
