１６−６.憎らしい君とリング戦にて ページ36
リングは完璧な輪になった。
今夜空に浮かぶ月と同じ、欠けなど一片も見当たらない。
チェルベッロに指輪を投げた後、血のついた短剣を振りあげ、私は笑う。
ツナ達の信じられなさそうな顔から避けるようにして、盾である笑顔を浮かべた。
これ以上、踏み込まないで。
今、私に何の言葉も掛けないで。
今日は早く家に帰って、血のにおいを落としたいの。
＿＿この血が、私に今更に「犯罪者」と訴えかけているようで、耐えられないから。
横を通り過ぎる時に「勝ったよ」とだけ告げると、その場を後にした。
ぼんやりと、暗く無機質な音を立てる道を歩く。
視界が悪い。
平衡感覚が狂ってきている。
プールの中で沈んでいる気分。
そのプールの外から、泣きそうなツナの声が聞こえた。
「＿＿草凪さんはっ、それでいいの！？
後悔していないの！？
少しも……っ、辛い気持ちはないの！？
俺だったら……、俺だったら耐えられない！
父親を手にかけるなんて、絶対……！
＿＿草凪さん！」
ごめんね、ツナ。
今は答える気力も何も残っていないの。
だからまた今度話そうか。
それとも、こんな大事な話を後回しにする私を、君はまた非道だと泣いて訴えるんだろうか。
軽蔑するんだろうか。
……私は、父を殺して、仲間の信頼を失って。
一体、何がしたかったんだろう？
これで本当に清々したと言うのなら、私はきっと嫌な笑顔を浮かべているんだろう。
月は雲に隠され、夜は深まっていった。
＊＊
屋上にいる少年と少女は、言葉を交わさなかった。
少女はただただ泣くのを堪え、少年はただただ背中を貸していた。
少年は、本当なら、肩を抱いて慰めてやりたいと思っていた。
けれど、それが正解なのか、今、彼女に触れてしまっていいのか、そんな疑問がぐるぐると頭を支配する。
少女は甘え方を知らなかった。
少年は、甘やかし方を知らなかった。
そんな事分かり切っていたはずなのに、少女は少年の元へとやってきた。
仲間に何の弁解もせず、ただ。
彼女は泣きたかった。
でも、泣くのは許せないと自分を呪っていた。
そんな事が出来る場所は、唯一此処しかない。
「……ごめん、」
少年は振り向きそうになったが、顔を下に向けるだけでとどまった。
その謝罪が、自分への物ではないと気付いたからだ。
少女は言葉を発する今も、その目から感情を流す事はしない。
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鈴鐘草(プロフ) - レナさん» いえいえ！ 本当に嬉しいんですよー、自分が書いているものが好きだって言ってもらえるのは(＾▽＾＊) コメントを全くくれないと「つまらないのかなあ…」って不安にもなりますしねえ(笑) 本当にありがとうございます、よりよい小説を書くために精進していきます！ (2015年11月22日 23時) (
レス) id: a9e0db2ec6 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - そんな。大げさですよ！汗 (2015年11月20日 19時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» わあああまた遅くなってしまいました！ 本当にそういう言葉は嬉しいです、これからも励みにさせていただきますね^^ (2015年11月20日 18時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 応援してます！ (2015年11月14日 11時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» 初めまして！返信大変遅れました、すみません…。息抜きに来たのですが、コメントを下さった方がいたなんて…（感涙） ありがとうございます、大好きといって頂けて作者冥利に尽きます（´ω｀*）コメントありがとうございました、これからも頑張りますね…！ (2015年11月14日 0時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2015年6月7日 22時
