９−２.野球馬鹿と帰宅途中 ページ17
山本も一応思春期の男子である。
だからこの状況で焦ったり顔を赤くしたりするのは当然なのだが、何故かAにとって意外だった。
しかし、思い返してみると山本の行動のあれこれは天然を軽く飛び越える勢いなので、「だって山本でしょ」と言われれば強くは言い返せない。
野次を背景として聞きながら、Aはぼんやりとした思考で二言三言山本と会話をした後、そそくさと土手の上に戻った。
「じゃあなー！」
「ん、ばいばーい」
にこやかに手を振り返すが、内心「どうせ明日も学校で会うじゃん」と冷え切った事を考えていた。
Aは元来そう言う性格であり、繋がりの薄いそこらのクラスメイトであれば更に冷たい事を思っているのではあるが。
遠くを見ると夕焼けが赤く染まっていて、ああ夏なんだなと風を受けながら感じた。
秋であればもっと色が薄い空だが、夏になると途端に濃い色になるのが、昔からAにとっては不思議で仕方なかった。
オレンジ色で燃えるような色を。
雲なんかほらピンク色だ、カクテルとかにありそう。
例え方が中学生っぽくないな、と、自分でくすくすとAは笑う。
八月になるともっと赤くなって、白い壁の建物なんかはスポットライトで照らされたように色づく。
Aはきっと自分には似合わないなと自嘲する。
＿＿なんて感傷にふけっていたら、カキィンと遠くで音がした。
何これ漫画の中のホームランかよだなんて鼻で笑いながら音のした方を見ると、
「ああ、これは大変」
セリフめいて心にもない言葉を吐いてこっちに飛んでくるボールを見る。
それはぐんぐん自分に近づいてきて、このまま避けなかったら心臓部に直撃だろうなと想像した。
「まあ……」
左足を踏みしめれば砂利とローファーのこすれる音が耳に届いた。
地面に水平になるほど右足をあげ、足の甲がそれに丁度当たるような向きにし、風を切るように思い切り勢いをつけて力を入れる。
「そんなことありえないけど」
バシッとボールはローファーにはじかれ、先ほどよりも勢いを増して男の子たちの元へと戻る。
山本がそれをグローブ見事キャッチすると、口許に手でメガホンを作るようにしてこっちへと声を張り上げた。
「さっすが草凪だな！」
嬉しいような、嬉しくないような。
(女の子っぽくないってことなのかな)
(あの姉ちゃんすげえな！)
(明日一緒に遊ぼうぜ―！)
(なあ武ー！)
(え、いや俺に頼まれても……困んなあ……)
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鈴鐘草(プロフ) - レナさん» いえいえ！ 本当に嬉しいんですよー、自分が書いているものが好きだって言ってもらえるのは(＾▽＾＊) コメントを全くくれないと「つまらないのかなあ…」って不安にもなりますしねえ(笑) 本当にありがとうございます、よりよい小説を書くために精進していきます！ (2015年11月22日 23時) (
レス) id: a9e0db2ec6 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - そんな。大げさですよ！汗 (2015年11月20日 19時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» わあああまた遅くなってしまいました！ 本当にそういう言葉は嬉しいです、これからも励みにさせていただきますね^^ (2015年11月20日 18時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 応援してます！ (2015年11月14日 11時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» 初めまして！返信大変遅れました、すみません…。息抜きに来たのですが、コメントを下さった方がいたなんて…（感涙） ありがとうございます、大好きといって頂けて作者冥利に尽きます（´ω｀*）コメントありがとうございました、これからも頑張りますね…！ (2015年11月14日 0時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2015年6月7日 22時
