８．芝生頭と部活中 ページ15
まさかこんなこと頼まれるとは。
確かに京子ちゃんとは仲が良かったけど、ソウテイのハンイガイ、だ。
手に持った水筒に保冷剤を包んだタオル。
少し小走りで私は、ボクシング部の部室へと向かっていた。
「きょくげーっん！」
「おおっと」
扉前でスパーリングしているなんて。
一歩身を引いた後に、先輩がこっちに気づかないかと様子を見る。
全身汗だくで、ロープの切れたようなリングとから向かってきたであろう方向のまま拳を繰り出す先輩。
先輩の相手をしている人も真剣な表情だし、きっとこの二人、リングから自分たちが出て言ってることに気づいてないんだろうな。
なんていうボクシングバカ。
微笑ましく、というよりもにやにやとした笑みを浮かべて二人の戦いを眺める。
ほかの部員の人らはもう私に気づいているのか、ざわざわとしながら私の存在にどぎまぎとしている。
注目されるのは控えたいんだけどね。
さすような視線にこれ以上さらされるわけにもいかず、私はボクシングに夢中な先輩の背中に声をかけた。
「先輩」
「うおおお！」
まだ気づかないとは。
「笹川せんぱーい」
「くっ、おおああああ！」
「手入れの行き届いてない芝生頭の先輩？」
「うるさいタコヘッドがあああ！」
「おっと」
飛んできたボクシンググローブをさっとよけて、やっと私の存在を確認した先輩に嫌味らしく笑いを向ける。
きょとんとした顔してますけど、先輩、さっきのグローブ壁を少しえぐってるんですがね。
しかもタコヘッドって、獄寺と私、どうやって見間違うんだろ。
もちろんそんなこと言わずに、とりあえず水筒とタオルを差し出した。
「京子ちゃん、今日休みでしょう？ それなのに先輩がこれ忘れてっちゃったとかで」
保冷剤でタオル冷やすなんて、できた妹さんだ。
「おお、すまないな！ それでは今日何かおごってやろう！」
「え」
なんて意外な返事なのか。……まあでも。
保冷剤に親指の腹を沈み込ませて遊ぶ。
「そうですね、じゃあ適当にそこらへんで」
「ああ、ではな！ 部活が終わったら連絡を入れるぞ」
「はいはーい」
背を向けながら返事をして、伸びをする。
なんだかざわざわと後ろでうるさい声も聞こえるけど、別にかまわないか。
どうせそのうち公認のお友達になるわけだし。
静かに扉をしめて、くすくす笑いをこらえる。
(さあて、と)
(先輩の部活が終わるまで、どこで暇つぶししようかな)
(……なあんて、実はもう決まってるけど)
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鈴鐘草(プロフ) - レナさん» いえいえ！ 本当に嬉しいんですよー、自分が書いているものが好きだって言ってもらえるのは(＾▽＾＊) コメントを全くくれないと「つまらないのかなあ…」って不安にもなりますしねえ(笑) 本当にありがとうございます、よりよい小説を書くために精進していきます！ (2015年11月22日 23時) (
レス) id: a9e0db2ec6 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - そんな。大げさですよ！汗 (2015年11月20日 19時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» わあああまた遅くなってしまいました！ 本当にそういう言葉は嬉しいです、これからも励みにさせていただきますね^^ (2015年11月20日 18時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 応援してます！ (2015年11月14日 11時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» 初めまして！返信大変遅れました、すみません…。息抜きに来たのですが、コメントを下さった方がいたなんて…（感涙） ありがとうございます、大好きといって頂けて作者冥利に尽きます（´ω｀*）コメントありがとうございました、これからも頑張りますね…！ (2015年11月14日 0時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2015年6月7日 22時
