６−３.風紀委員長と梅雨時に ページ11
その言葉は貸してあげる、という意味ではなかったらしい。
私は今、並中の生徒であれば恐怖のどん底にいることになるであろう状況＿＿雲雀さんと同じ傘の中、一緒に歩いているわけで。
ああなるほど、そう言うことですか。
その発想はなかったですよ、と、ちょっと やさぐれてみる。
当の雲雀さんはさしてこの状況をどうとも思っていないらしく、静かに歩き続けている。
確かにこの状況に私も緊張はしない。
別に雲雀さんだし、今更って感じだしね。
でも、私は人に触れる事が苦手。
つまりパーソナルスペースとか言うものが人よりも敏感というか広いわけで。
この肩が触れるか触れないか、という状況は、どうしても居心地が悪い。
気まずげにする私に、雲雀さんはやっと口を開いた。
その顔は何も考えていない様にも見えるし、全てを見透かしてるようにも見える。
「肩、ぬれるよ」
「……大丈夫です」
ぬれてないですよと馬鹿らしく嘘を吐く。
「制服もぬれる」
「すぐ乾きますよ」
雲雀さんの学ランも同じじゃないですかと茶化してみてけど、雲雀さんの態度は変わらない。
「髪＿＿」
へ、と、顔をあげた後にはもう遅く。
雲雀さんの手は、私のぬれた髪に触れていた。
＿＿雨音にまぎれてひとつの高い音。
それは私が雲雀さんの手をはじいた音。
反射的に、私の昔の記憶が、全ての人を拒むように。
私今きっと、すごく冷たい顔をしてるに違いない。
笑ってはいるけど、でもきっと。
私の予想通りだったのか、雲雀さんは驚いた顔をした後、傘を私に押しつけて去って行ってしまった。
その傘を受け取らなかったために傘は音を立てずにぬれたアスファルトの上におち、私の髪も、肩も、制服もぬれてしまう。
雲雀さんが去って行ったあとを目で追いながら、ぼんやりとさっきの雲雀さんの表情を思い出す。
驚いていた。
でも、その後一瞬悲しそうな、辛そうな顔をしてた。
……そっか。
それを隠すために行っちゃったんだ。
こんな雨の中、ひとりで。
……それをさせたのは、すべて私だけれど。
「すみません、雲雀さん」
雨粒がまつげや髪にしたたる。
制服がどんどん冷たく、重くなる。
＿＿梅雨は好きだったはずなのにな。
(別に拒絶された事が辛いんじゃない)
(君をそんな顔にさせるのは)
(誰なのか、何なのかと)
(そう考えたら、)
(胸が苦しくなっただけだ)
(だから)
(君も明日はあの嘘くさい笑みを浮かべていてよ)
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鈴鐘草(プロフ) - レナさん» いえいえ！ 本当に嬉しいんですよー、自分が書いているものが好きだって言ってもらえるのは(＾▽＾＊) コメントを全くくれないと「つまらないのかなあ…」って不安にもなりますしねえ(笑) 本当にありがとうございます、よりよい小説を書くために精進していきます！ (2015年11月22日 23時) (
レス) id: a9e0db2ec6 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - そんな。大げさですよ！汗 (2015年11月20日 19時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» わあああまた遅くなってしまいました！ 本当にそういう言葉は嬉しいです、これからも励みにさせていただきますね^^ (2015年11月20日 18時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 応援してます！ (2015年11月14日 11時) (レス) id: 67d98e9ffd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草 - レナさん» 初めまして！返信大変遅れました、すみません…。息抜きに来たのですが、コメントを下さった方がいたなんて…（感涙） ありがとうございます、大好きといって頂けて作者冥利に尽きます（´ω｀*）コメントありがとうございました、これからも頑張りますね…！ (2015年11月14日 0時) (レス) id: 0572002cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴鐘草 | 作成日時：2015年6月7日 22時
