また君に会えたら【桃】

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話したいがあるから泊まってけ、なんてさとみくんが言ったのは、夕食を食べ終えた頃だった。


私は一旦家に荷物を取りに帰った。




嬉しいけど、ちょっと怖い。

話って……たぶん元彼女さんのこととか、そういう事だろうし。


現実と向き合わなきゃいけない時がきたのが、怖いんだ。




「………A？」

「……おかあさん」

「こんな時間に、どこかに行くの？」



うちは母子家庭だ。

お母さんはいつも、夜に働きに出ているから今まではバレなかったけど。


今日は家にいたみたいで、呼び止められた。



「さとみくんち………」

「あぁ……言ってたわね、結婚するとか何とか……」

「…………そうだけど」

「まぁさとみくんの家はお金持ちだし、幸せになれるかもね。結婚したら」


「…………………！！！！！」



私はそのまま走って家を出た。



お母さんは大好きだけど、肝心なところで話が合わない。


中学の時はさとみくんなんか忘れてはやく彼氏を作った方がいいとか、散々言ったくせに。




さとみくんに対して嫌な言い方をされたのが悔しくて、ちょっとだけ涙が出た。



さとみくんにバレないように、ちゃんと拭わなきゃ。

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