四十八片If ページ49
Ifstory[薬2]
中原の一日幼児化事件から一週間後。
今度は中原が森に呼び出されていた。
其処には十歳程度まで小さくなった治崎が居た。
「…あの、首領」
「治崎くんも梶井くんの実験に付き合わされたみたいでね」
「またですか」
「君みたいに小さくなるだけなら良かったんだけど」
「何か不都合でも?」
「記憶も飛んでしまったらしくて仕事ができない状態なのだよ」
「また面倒なことを」
中原は治崎に視線を移すが、無表情のまま用意された椅子に座っていた。
中原が名前を呼んでみるが微動だにせず座っている。
「先刻からずっとその調子でね。今日は治崎くんの世話に回ってほしい」
「…判りました」
中原が小さくなった時も厭だと云いながらも治崎は扶けていた。
其の借りを返すため治崎に近寄るが、動かない。
「おい、A。聞こえてんのか?」
中原が触れると漸く治崎は顔を上げた。
「…だ、れ?」
「俺は中原中也だ。取り敢えず手前の家に帰るぞ」
「い、え?」
「歩けるか?」
「ある、く…」
云われたことを覚えるかのように何度も治崎は口に出す。
そして椅子から立ち上がった。
相変わらず表情はない。
其の後、治崎の家に着いて様子を見ていたが中原は頭を抱えた。
ずっと座っていたかと思いばふらりと歩き出し何処かへ行く、食事を取らない、何かを確認するかのように何かを呟くなど常に何をしたいのかが判らなかった。
翌日、元に戻った治崎だったが小さくなった時の記憶はないと云った。
中原は深く長い溜息を吐きながら項垂れた。
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クマぽん - 中也とのコントみたいなのがとても面白かったです!!!!!これからも頑張ってください!!!! (2018年12月19日 18時) (レス) id: a657e0068a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衿歌 | 作成日時:2018年4月28日 23時