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十二片 ページ13

「おい、治崎」

仕事終わりで疲れている治崎に中原が仏頂面で話しかけてきた。

「何ですか」
「一寸来い」

無理やり手を引き治崎をどこかへ連れていく。

「痛いです中原幹部、怒ってるんですか?」

見えない顔と聞こえない声、少しづつ痛くなる腕に治崎は不安と恐怖を感じていた。

「中原幹部っ」

何度か呼んだところで中原が振り返る。

「姐さんから手前のことを聞いた」
「尾崎、様から?」
「手前の過去についてだ」

過去、と聞いた治崎は目を見開いた。
そして俯いた。

「……それで?」
「何で黙ってた」
「昔のことなんて、関係ないですよね」
「過去もそうだが、その性格についても聞いた」
「…必要ないからですよ。だから離してください」

逃げようと必死になる治崎だが、男女の力の差の前では意味がない。
離れようと足掻くほど中原の力は強くなる。

「離さねェよ」

中原からでた優しく強い、けれど欲深く怒りのこもった声。

「手前から全部聞きたい。手前がどうしてそうなったのか、どんなこと思ってるのか、手前が…」

ゆっくりと治崎が顔を上げる。

「手前が俺をどう思ってるのか」

視線がぶつかった。

中原の真剣な目と、治崎の泣きそうな目が。

「どうして、そこまで」
「…俺は」

言いにくそうに、迷いながら、口を開いた。

「手前が、好きだからだよ」

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クマぽん - 中也とのコントみたいなのがとても面白かったです!!!!!これからも頑張ってください!!!! (2018年12月19日 18時) (レス) id: a657e0068a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衿歌 | 作成日時:2018年4月28日 23時

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