I accept myself as well as you. Part1

23ピース ページ24

太輔が家に入ると、明らかに渉のではない、男物の靴があった。

まさか……父さん？

そう思った太輔は、自分が震えだしているのに気付いた。とにかく、帰ったということを渉に伝えなければいけない。
勇気を振り絞って、リビングのドアを開けた。

「あ、太輔。おかえり」

音に反応して、太輔に気付いた渉。そして、

「こんにちは。君が藤ヶ谷太輔くん？」

中にいたのは父親ではなく、見たことないさわやかな男性だった。

「ただいま、渉くん。あの……誰ですか？」

「とにかく、そんなとこ立ってないでこっちおいで」

渉にうながされ、隣に座った。

「はじめまして。山風中学校の教師、櫻井翔です。急に来ちゃってごめんね」

中学の教師。太輔には何が何だかさっぱり。
そんなことはお構いなしに、渉と櫻井は話を進めていく。

「しかしなぁ、横尾にこんな可愛い従兄弟いたなんて……うらやましいぞ」

「先輩、さらっと変なこと言わないでください」

たしかに可愛いですけどね。と笑顔で返す渉。

「渉くん、なんで中学の先生がここにいるの？」

やっとの思いで口にした疑問。
太輔は成人男性が苦手だ。父親から、虐待ではないが暴力を振るわれていたし、時には生きていることを否定されるようなことも言われていた。
だから、初対面の男の人に会うときは恐怖がある。

太輔が怖い人でないと思えたら、大丈夫だが……。

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あずきいろ

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