青道恋戦記【短編集】 (ページ5)

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【御幸一也】やばいページ5

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貴『やばいやばいやばいやばい！！』

重い足取りの割には口だけは早く回る。

御「いや大げさ…いてててて」

貴『ほらほらほらほら！！喋んないで！』

今の状況はと言うと、Aが御幸に肩を貸し、保健室までの廊下を歩いている…という状況だ。

体重を預けてきてるのでとても重い。

御「痛かったなぁ、丹波さんのストレート球…」

単刀直入に言えばデッドボールである。

脇腹に丹波のボールを受けた御幸は保健室行きに。

それの付き添い兼支える棒として任命されてやっとこ保健室へ着く。

貴『御幸先輩、ベッドに寝ててください！

あ、その前にユニフォーム脱いどいてください！』

御「はいはい…っと」

手早く湿布や包帯、テープ、はさみなどを手に取るとAは御幸の元へと行った。

貴『うわぁぁアザになってるー！！』

御「うるせー」

ゴチっと頭を殴られながらも「失礼！」とアザを押してみる。

御幸は「痛い痛い」とボヤいてるが感覚的にはただの打撲だと判断した。

貴『…はぁぁぁ…よかった。ただの打撲だと思います。よかった…』

御「つめてっ」

湿布を何も言わずペタリとはって、テープにするか包帯にするか迷う。

貴『御幸先輩、包帯巻いていいですか？少し緩めには巻きますんで…』

御「んー、頼む」

痛みが引いてきたのか表情が和らいできた。

再び「失礼」と後ろから包帯を巻く。

今思えば、この状況、おかしい。

半裸の男に抱きついてるみたいになってる。

そう意識し始めたら思考がおかしくなってきて早く終わらそうとぐるぐる包帯を回していく。

けれど…

御「あー、やばいわこれ」

貴『えっ、きついですか？痛みます？？』

見上げてみればすぐ側に御幸の顔があって…

両手で両頬を包まれる。

貴『ちょ、あの、御幸せんぱ…』

御「…可愛すぎ。」

そっと触れる唇。

「んっ」と声を漏らして身じろぐと御幸は軽々Aを持ち上げてベッドへと下ろした。

御「こらこら、逃げようとしないの。」

貴『御幸先輩！？ちょっと…ひゃ！？』

Aの着ていた洋服を見事に脱がすとそれに覆いかぶさる様に、Aを抱きしめる。

御「だって我慢出来ねーし…これも取っていい？」

なんて聞く彼は、胸元のそれを指していて…

妖美に笑っていた。

拒否も肯定もする暇もなく、御幸は後ろに手を回した。

私はただぎゅっと、彼に抱きつくことしか出来なかった。