あの日のウタ ページ5
高地を俺の中で正式に友達認定してしばらく経った頃。確か高2になってすぐの頃。
俺はユメを見た。
今でもハッキリと覚えている。
彼が、あのトモダチが出てきたのだ。
顔を覚えていないから後ろ姿ではあったが、声は、ウタは、たしかにあの日と同じだった。
「みんなのおもいでとともに〜 いきつづけるいつまでも〜」
俺は慌てて近づいたがその瞬間ウタが途切れた。
起き上がるなり、スマホのメモ機能を開き、
"16.4.21
みんなの思い出とともに 生き続けるいつまでも"
と文字を記した。このウタを忘れたくない、そう思ったから。この時から密かに俺はまたトモダチに会えるんじゃないかと思っていた。
高校生活は高地のおかげで彩り豊になった。高地を恩人と言う所以はここから。それと並行するかのようにユメもゆっくりと進展していった。
少しずつ増えるメモ機能の歌詞、何でも言えると思っていた高地にさえこのことはなんだか言えなかった。言いたくなかったのかもしれない。
彼のウタを知ってるのは俺だけでいたいという子供じみた我が儘。きっと今の彼の周りの人はみんな知ってるだろうに。
ふと少し前の記憶に浸っていた居酒屋からの帰り道。友人で飲んだからか、それともラジオを聴いていないからか。
ふと見渡すと見覚えのある景色。細い路地沿いの小さな公園。見覚えがあって当たり前なんだけど、今までは聴覚に集中していたから気にも留めなかった。いや、違う。この景色はもっと前の記憶だ…
もしかして、!?と思ったその時だった
「みんな〜の思〜い出と〜ともに〜
生きつーづけーるいつ〜までも〜」
俺は耳を疑った。だって、あの時と似たような声であの時のウタを歌うっている男の人が、
あの時の公園にいるのだから。
今までにないような感覚に陥り足がすくむ。彼の後ろ姿と歌声に感覚全てを持ってかれた俺はその場でフニャンとバランスを崩すように膝を曲げてしまった。
そのまま俺は軽く地面に頭を打ち、、茶髪?黒に金メッシュ?どんな髪色なのかボヤけた視界では認識できない。
『キミ、大丈夫?!』
あぁ、たしかに、彼の声だ。
ずっと会えるのを楽しみにしていたトモダチの声が聴こえる。
これももしかしてあのユメの続きなのか…?
それならいっそ醒めなければいいのに___________
なんてことを考えていたら意識が飛んでいた。
目が覚めた時から日常が大きく変わるとも気づかないまま。
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しば(プロフ) - ぽんさん» 報告ありがとうございます!以後気をつけます!また何かありましたらコメントお願いします^ ^ (2020年9月22日 0時) (レス) id: 4f2125b82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しば | 作成日時:2020年9月21日 23時