多分、恋 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:206 hit

涙ページ5

「あんたってAのこと好きでしょ」

…は？

硝湖の声の発言に思わず固まった

「ずっとAのこと見てるし、Aが何処か行くたびについて行こうとするでしょ。分かりやすすぎ」

教室の机にうつ伏せになっていた俺は、思わず体を起こしてしまう

硝湖は傑と2人で話しているようだった
傑は顔ひとつ崩さず
「どうだろうね」

傑の余裕の顔に無性に腹が立った
好きってことなのか？

俺はムカついて逃げるように教室を出ていった

適当に歩いていていると小さな背中が見えた。Aが居た
無視しようとしたが、何故かAの様子が気になった

「何してんの」
Aは俺の声に反応して体をビクッとさせた
隣に座って、顔を覗こうとすると顔を逸らされた

「はぁ？なんだよ」
Aは何も言わなかった。

は？なんで無視するんだよ

俺はカッとなって無理やにAの頬っぺを掴んでこっち向かせた

「っ！？」
顔を見るとAは泣いていた。目から大粒の涙を零している。Aの顔を掴んだ俺の手は涙がつたって手が濡れていた。

『ふぅっ…うぅ…』

こんな顔を見るのは初めてだった。いつもアホみたいに元気なAからは想像もつかないほどだった
俺は手を離して
｢どう…した？｣
俺は困惑したまま問いかけた

それから、Aはゆっくり話してくれた
任務先で呪霊に目の前で子どもを殺されたらしい
こういう人柄だ、相当ショックを受けたはずだろう

『私が死ねば…』
｢おい！｣

俺は咄嗟に声を上げた

｢そんなこと言うな｣

『私のせいで死んじゃったんだよ…』
Aは手で顔を覆った。

俺は何も言わずAを抱きしめた

内心自分では何をしているんだと思ったがAを見ていると気持ちが抑えられなかった

｢泣くな…大丈夫だから。｣

それからAが落ち着くまで俺は一言も喋らなかった
それから少し落ち着いたかと顔を覗くと寝息を立てて寝ていた

俺の腕の中に抱かれて寝ているAに釘付けになるように目が離せない

吸い込まれていくように顔が近くなっていく

あ。
｢悟｣

振り返ると傑が立っていた

｢学長が呼んでる｣

｢マジかよ、おいA起きろ｣

肩を揺さぶってAを起こそうとした

｢Aは私が起こしておくから｣

そう言って取るようにAを抱っこする傑に何も言えずにその場を去った

廊下を歩いているなか頭にAの寝ている顔がよぎった

｢…｣

自分の唇を撫でる
急に顔が熱くなる

｢はぁ〜…｣

やってしまった…