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"いくな"
確かに今甚爾さんがそう言った。
声はガラガラとしており、生前の甚爾さんと全く違うのが分かる。でも、声色は甚爾さんのもの。
あれもしかして、
『今まで話さなかったの、私が怖がると思って…?』
「……う゛」
『大丈夫、甚爾さんがこうなった責任は私にもあるから、離れないし怖がらないよ。
……夏油、貴方の考えを完全に否定するわけじゃないけど自分と考えが違う人とは一緒に居られない。』
一瞬夏油のそばに居てあげないとと思ったけれど、きっとしんどくなるのは自分だ。
それに、甚爾さんをどうにか解放してあげる為になるとは思えないし。
「……君なら一緒に居てくれると思ったんだけれど
それじゃあ、さようならだA」
そう言って、夏油はこちらに背を向け歩き出した。
仕方ないこれは避けられないこと。
夏油が見えなくなったところで、甚爾さんにもたれかかった。正直言って、いつもあんなに励ましてくれたり何かと気をかけてくれた彼が離反してしまうのは相当ショックだった。
『甚爾さん、帰ろっか。
高専に』
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「Aさんいらっしゃい!今晩何の予定なのー?」
『お邪魔します。今日は、豚のしょうが焼きかなぁ、あと適当に味噌汁とか。』
「やった!あ、恵はまだ帰ってきてないよ!」
『分かった』
あれから少しでも気を紛らわせようと恵くん達の元にくる回数を増やした。最近ではほぼ毎日ご飯を作りに来ている。
その為か、あまり五条やら硝子やらと関わる事が少なくなった。特に五条なんて数日は会ってないだろう。
ご飯の準備をしていたら、上の方から津美紀ちゃんの声が聞こえる、恵くんの名前を呼んでいるから多分帰ってきたんだろう。
すると、台所に近付く足音が聞こえてくる。
『おかえり恵くん、今、ご飯作ってるから先にお風呂とか済ませちゃ……五条!?』
「お前、最近外泊多いと思ってたらこんなトコに来てたのかよ」
『ここに来てるってことは、何か甚爾さんに頼まれたの?』
「……お前さ、アイツとどういう関係なの?」
『あれ五条に話してなかったっけ』
話始めようとした時に時間差で恵くんが走ってきた。
そのまま私の前に来て、五条を睨み付けていた。何言ったんだ一体。
「Aさん、知り合いなの」
『ま、高校の同級生だし知ってるよ』
「だからクソ親父とも知り合いなのか……」
その恵くんに対して私は軽く笑う事しか出来なかった。
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七巳流 - 答えられないのだが、パスワード教えてくれ。 (2022年7月16日 12時) (レス) @page33 id: 5347ef430e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます。素敵な小説でした。次の作品「10譛?1譌・19譎よク玖ーキ-繝上Ο繧ヲ繧」繝ウ」のパスワードを教えてください。 (2021年7月14日 7時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 完結の後話も甚爾さんと夢主さん絡みの事なのでしょか? 見れないですもっともっと出来れば二人の事見ていたいです (2021年7月13日 1時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - 悲しい所もあるけど甚爾さん達の所もっともっと続きが見たい甚爾さんと五条さん絡みも (2021年4月29日 1時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
杜若(プロフ) - マリアさん» コメントありがとうございます!甚爾さんの話書きたすぎてこじれた結果がこの作品です……のんびりゆっくり更新しますので気長に待ってもらえれば嬉しいです…… (2021年4月4日 12時) (レス) id: 06c98d5373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杜若 | 作成日時:2021年4月3日 9時