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画面に映し出された写真に曽根先輩は何度も瞬きをする、変な写真でも混ざっていたか?そう思いパソコンの画面に目を移すが、特に変なところはない。
部活用に余ったSDも使ったし、変な写真が混ざるわけが無いのだけれど。
すると、曽根先輩は、大きな声を出して画面を指さす。他の先輩もなんだなんだと画面を覗いてきて、様々な声をあげ出す。
『な、なんですか』
「なんでバスケ部の練習中の写真が撮れたの!?」
しかも、盗撮とかじゃなくてしっかりと体育館の中で!と曽根先輩に肩をすごく揺すられる。
ん?
『どういう事ですか?』
私が不思議そうにすれば、曽根先輩を含め他の先輩は、そういえば、と頭を押えていた。しばらくして曽根先輩が私の肩を掴み、顔を近づける。
「ちゃんと、新聞部の写真だって言った?」
『言いました』
じゃあ尚更何でぇ!?と更に声を出した。
先輩達の様子からして何かやらかしてしまったことは分かるのだが、状況が理解できない。
落ち着いた別の先輩が、説明をしてくれた。
どうやら過去に何度かバスケ部の写真を撮りに行こうとしたが、惨敗だったとのこと。
「でも、どうやって許可を?」
『主将の虹村先輩、私の従兄妹なんです。』
「あぁ……成程、身内だからどういう人間か知ってるから、撮らせてくれたのか……」
とにかく写真を選ばないと、何のための写真何だか。
すると、屍となっていた曽根先輩が、勢いよく起き上がる。そして、キラキラと目を輝かせ私の肩を掴み寄せてきた。
「期待の新人が本当に期待すぎる!!よぉし、吉田くん!!来月の新聞はバスケ部特集よ!!」
「了解!丁度ネタに困ってましたし!」
「ちょっと待って、別に特集を組まなくても、大牟田さんが居るならいつでもバスケ部の写真撮って来て貰えるじゃない。」
敢えて来月発行分は控えめにするべきだと、3年の猪塚先輩が言った。
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そして、現状に至る。
『……』
「おーおー、なんか珍しく騒がしいな」
『あ、芥川先生』
「ん、正常なのは大牟田だけか?どういう状況コレ」
芥川先生とは、新聞部の顧問で、生徒達だけで自由に作らせたいと言ってあまり部に顔を出さない国語系の先生。先輩達の経緯を話すとあ〜と少し気だるげに声を出す。先生もバスケ部の事は知っていたようで、そりゃこうなるか、と言葉を漏らした。
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作者名:杜若 | 作成日時:2020年8月20日 20時