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嫌々そうに、面倒くさそうに、と言う言葉が合いそうな表情をしながら渋々こちらに近付いてきた。私はフォトコンの候補の写真を画面に映した。
『緑間クンさ、この写真とこの写真どっちがいいと思う？』
｢む？……｣
ノートパソコンを自分の方へ向け、キーボードを触り、2枚の写真を見比べている。少しして画面をこちらに向けた。
｢こちらの方がいいな……で、これはなんなのだよ｣
『んー、フォトコンの応募する写真。芥川先生に明日までに決めろって言われてさ。』
｢な！？それを俺に決めさせたのか！？｣
『…まぁ、私にとってどっちも同じくらい好きな写真だから。他の人の意見も取り入れたくて。』
彼は少し唖然としたあと、溜息をつきこちらを見たと思えば少し睨みながら、｢賞に落ちても文句は言うな｣と釘を刺される、文句って……言うわけないじゃないか。
『私もこの写真はいいって思ってるんだから、それに落ちても悪いのは私の実力不足。緑間クンを責める必要性がないよ』
｢……｣
『それに、私は好きなことしかしない主義、面倒な事は嫌いなの。』
緑間が選んでくれた写真を残し、原稿の方を進めるためにWordを開いた。私がまだ何かをする様子に気が付いたのか画面を覗いてきたため、ダメと手のひらを顔の近くまで持っていく。
『なんでここに、って言ってたよね？私ここで新聞部の作業してんの』
｢そうだったのか……しかし、何故ここでするのだよ｣
『先生が自由に使えーって鍵貸してくれたから。部室はちょっと、だから一人で出来るここでしてる。』
嘘をつく必要性もないし、隠す必要性もない。特に緑間なら騒がしいヤツらとは違って大人しいだろうし、私の邪魔はしないはずだ。
さてと、とパソコンの画面に向かいながら今日の昼食メロンパンを口に運ぶ。
しかし、何故かまだ緑間はそこに居る。しかも私を凝視……いや、私のパンを凝視しているようだった。メロンパン好きなのかな？
｢お前、それが昼ごはんなのか｣
『ん？え、まぁ、ここに来る時は作業しかしないし、あ、でもここに来ない火木は、弁当だよ。』
もう約1ヶ月もこの習慣でいるため慣れてしまった。しかし、目の前の緑間は信じられないという表情をした。すると、無言で教室を出て行ってしまう。
『なんだったんだよ……』
何も言わずに出ていった事に私は疑問しか抱かなかった。
まぁ、彼にはフォトコンの写真を選んでもらったし、文句はない。
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作者名：杜若 | 作成日時：2020年8月20日 20時
