side F ページ5
「え?え?」
ポカンとしている北山に、更に続ける。
「必要な時もあるかもしれないからこの部屋はこのままにしておくとして、でも基本は俺の家で二人で暮らす事にしたい」
「ちょ…藤ヶ谷」
「あ、別に逆でも構わないけどね。基本この部屋で二人暮らしでも俺は」
「藤ヶ谷って!」
「ねぇ、北山?」
「…はい」
「一緒に暮らしてさ、今回みたいに喧嘩してもちゃんと話し合ってさ、夜は一緒に寝てさ、その日のうちに仲直りする様にしたい」
「…」
元々真ん丸な北山の目が更に丸くなり、その目には涙が浮かんでいる。
何となくそれが返事の様に思えて、俺も目頭が熱くなってくるのがわかる。
「まぁ、喧嘩しないのが一番なんだけどね?でも多分また喧嘩しちゃうでしょ〜、俺ら(笑)」
涙を我慢すべく、ちょっとおどけて話してみる。
「でもほら、喧嘩するほど仲が良いって言うから…ぐっ!」
今度は北山が俺に突進する勢いで抱きついてきてくれた。
涙を隠したいのだろう北山が俺の胸に強めに飛び込んできてくれたので、衝撃で変な声が出てしまった。
「藤ヶ谷…ありがと…。喧嘩しちゃったのにそんな風に言ってもらえるなんて、俺…」
グズグスと鼻を啜りながら答えてくれる北山をまた強く抱きしめる。
「何回喧嘩しても何回も仲直りしたいと思えるのは北山だからだもん」
それは紛れもない本音だった。
「ねぇ北山、返事聞かせて?」
「…でも俺の部屋このままにしとくなら、また藤ヶ谷ん家飛び出す事も出来ちゃうよな」
「いやいや、ここは素直に『はい』って言う所でしょっ!」
「あ、また喧嘩になった(笑)」
「もうっ(笑)」
何度でも喧嘩して何度でもわかり合いたいと思うよ。
大切な大切な北山だから。
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作者名:あっちゃん | 作成日時:2022年12月25日 17時