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………
―― 施設内
その制御室にて
とうに意識の無い大野の身体を
無造作に床に捨て
男は暫く操作を試み……
やがて諦めたのか、ドサリと椅子に腰を下ろした
.「全く……余計な事をしてくれたなぁ、おい
こちらから出られないとなると……
やはり、アイツらを呼び戻すしか道はないか……
とは言っても……あぁ そうだ
お前、何かしら持ってんだろ」
俯き横たわる大野に
そう問い掛けた男は
片足で大野の身体を寝返らせ
装備の全てを舐めまわし見る
その視線が、首の辺りでふと止まった
.「………何だ、いい物があるじゃねぇか」
椅子から離れ、そうほくそ笑み
剥ぎ取ったヘッドセットは
記憶の中のと仕様は変わらず……
慣れた手つきで男は弄る
戦闘の最中にでも折れたのか……一部は欠けてしまっていたが
スイッチを入れると
僅かながらに響いたノイズ
.「フ…… まだかろうじて使えそうだな、コイツも」
男が笑う その足元では
青白い唇から、またも赤い血が溢れ流れる
しかし大野はピクリとも動かず
静かに瞼を降ろしたままで……
.「…れ？ … ついに死んだか？」
男は徐に首筋へと手を伸ばし……
やがて微かな笑みを浮かべた
.「……しぶといねぇ
そういや、前もそうだったな
ったく……
何度も何度も手こずらせやがって
とはいえ
今やお前は大事な餌で
……どうやら唯一のお仲間だ
俺がチャンスをくれてやるから
次こそ役に立ってみろ」
.
そして、再び大野を担ぎ上げた男は
一人……玩具で遊ぶように
ヘッドセットを弄りながら
施設の奥へと歩いていく
クレーンを降り……
やがて
辺りからは人工物がその数を減らし
たどり着いた洞窟の入口
その中を
男は更に 迷いなく進み行く
すると途中
突然立ち止まった男は
ヘッドセットを耳元に寄せ
暫くの後、ニヤリと笑った
.「…… 聞こえる 聞こえる
そうだ…… いいぞ、早く来い……」
土壁に張り付く者らは
男の笑みに光を強め……
薄闇の中に 青く静かな輪を描く
四人の声に耳を傾け
一人 ……何かを目論む男
その背に担がれた大野は
力無く腕を垂らし……
髪を伝い
ポタリポタリと落ちていく赤
その雫にも呼応して
床の青達は 小さな円に光を強め……
男は再び歩き出す
すると
光達のざわめきも 二人の後を追いかけて……
消え去ると
その道はまた 闇へと沈み……
何処かへ抜ける風の音だけが
囁くように 響いていた
.
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ほうれん草(プロフ) - 初めまして！どうしても気持ちを伝えたくて会員登録しました！現在大学生なのですが、小学校の頃から何度も読み返して楽しませていただいています…！TEMPESTは間違いなく1番好きなケータイ小説です。これからも楽しみにしています！更新ありがとうございます！ (2020年11月23日 3時) (
レス) id: f0434b5d68 (このIDを非表示/違反報告)
ペコちゃん - 毎回ハラハラしながら見させてもらってます。リーダーのその後が気になって仕方がありませんっ！更新首を長〜くして待ってます！ (2020年11月12日 20時) (レス) id: 726f26b2c6 (このIDを非表示/違反報告)
めいそん(プロフ) - TEMPESTで見させてもらった景色が何年経っても忘れられず、ふとまた覗きに来てみたら更新されていてびっくりしました！一気に読み返してしまいました。またこの世界の続きが見られると思うととても嬉しいです。更新ありがとうございます！ (2020年9月13日 20時) (レス) id: 3acd423d16 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - サハラさんの更新通知がとても嬉しいです！サハラさんが描く5人が大好きです。是非結末まで見届けたいと思います。 (2020年9月6日 14時) (レス) id: d6343d5c60 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - サハラさん、更新ありがとうございます。美しい風景描写にうっとりします。本当に大好きです。余韻に浸りながら次の更新をゆっくり待ってます。 (2020年9月1日 18時) (レス) id: 481bc4ee81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サハラ
作成日時：2018年4月13日 12時
