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――
雅「…翔ちゃん……」
咆哮に驚いた相葉が
涙で赤らむ目を見開き、櫻井を見上げる
翔「 いや…だ … …俺は …もう いやだ
…ッ…立てよお前ら！俺はもう嫌なんだよ！
いいのかこれで！！
使われて…！
意味わかんねぇまま襲われて……
なくして… …失くして、失くしまくって…！！
なのにまた…こんな、ッ…
ここまで…馬鹿にされてもまだ
泣…しかないのか… …俺達は…
また…
何にも出来ずに終わんのか…！！
いい のか それで… 本当に…
… 俺は嫌だ
… …そんなのはもう、うんざりだ…！！」
潤「… … 翔君…」
櫻井が
何もかもを吐き出すように荒げた声は
最後には……掠れ
乱れた吐息が
雫と共に 余韻に落ちる
その間にも
薄い蒼は光に枯れて
淡い緑の砂となり
そこへ吹き込んだ風
生まれたばかりの砂達は
その風に
いともたやすく拐われて……
四人の頭上に
チラチラと降り注いだ
雅「… …… 、…」
緑に霞む視界
頬を撫で、落ちゆく砂粒
その無力さに……
目眩がする
翔「… … 先行って、様子見てくる」
暫くすると櫻井がそう呟いて
舞い上がる砂をくぐり、砂漠へと一人歩き出した
すると松本が立ち上がり
潤「待って翔君……俺も行く」
そう言って
一度、蒼を眺め見て
砂を払うと……出ていった
――
櫻井が見渡す 広大な砂漠
そのあちこちには
よく似た丘が点在し
それらの麓からも
今出たスロープと同じようにして
緑の砂が、空へと舞い上げられている
．
踏みしめる度に
か弱い声で砂が鳴く
すぐ先にある 帰還用の発射台
しかし瞳がそれを映しても
心は、そちらに向かおうとしない
．
あれほど帰りたかったのに……
恐らくは
帰還の道を説くべきだろうに
それを、胸底が許さない
．
潤「……翔君」
追い付いた松本は
櫻井に呼び掛ける
でもその背は無言で……
そびえ立つ帰還のシャトルを
見つめていた
大きすぎる決断
その指揮を背負う背中に
松本は
かけるべき、次の言葉を探せぬまま
未だ丘の出口に踞る
二宮達の姿へ振り向く
．
その時、その丘の上に敷き詰められた銀のパネルが
陽射しを眩しく反射して
目を細め、そちらを見上げた
．
潤「…ん、……なんだ…あれ…」
．
思わず呟く松本
見えたのは
さっきまでの砂煙ではなく
丘の反対側から
ゆったりと空に舞い上がる
無数の小さな飛行物
それらの描く……淡い影の群れだった
．
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ほうれん草(プロフ) - 初めまして！どうしても気持ちを伝えたくて会員登録しました！現在大学生なのですが、小学校の頃から何度も読み返して楽しませていただいています…！TEMPESTは間違いなく1番好きなケータイ小説です。これからも楽しみにしています！更新ありがとうございます！ (2020年11月23日 3時) (
レス) id: f0434b5d68 (このIDを非表示/違反報告)
ペコちゃん - 毎回ハラハラしながら見させてもらってます。リーダーのその後が気になって仕方がありませんっ！更新首を長〜くして待ってます！ (2020年11月12日 20時) (レス) id: 726f26b2c6 (このIDを非表示/違反報告)
めいそん(プロフ) - TEMPESTで見させてもらった景色が何年経っても忘れられず、ふとまた覗きに来てみたら更新されていてびっくりしました！一気に読み返してしまいました。またこの世界の続きが見られると思うととても嬉しいです。更新ありがとうございます！ (2020年9月13日 20時) (レス) id: 3acd423d16 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - サハラさんの更新通知がとても嬉しいです！サハラさんが描く5人が大好きです。是非結末まで見届けたいと思います。 (2020年9月6日 14時) (レス) id: d6343d5c60 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - サハラさん、更新ありがとうございます。美しい風景描写にうっとりします。本当に大好きです。余韻に浸りながら次の更新をゆっくり待ってます。 (2020年9月1日 18時) (レス) id: 481bc4ee81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サハラ
作成日時：2018年4月13日 12時
