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………
『……帰れるように 祈ってて』
夕陽に染まる屋上で
いつか 大野はそう言った
『……どうしたの
やっぱり…… 今日は何か変だよ
智君らしくない』
何も知らず
その横顔に尋ねた自分
すると僅かに微笑んで
大野はこちらを見つめ返した
『……頑張れよ、翔ちゃん
…… ずっと 応援してる 』
.
仲間と共に砂を巻き上げ
見知らぬ星で足掻く、今……
櫻井は理解した
あの日の彼が
どんな想いで
自分に祈りを託したか―――
.
『良い仲間なんだ……』
逃げ出す事も
打ち明ける事も 許されなかった任務
それを背負った 彼が唯一
口に出来た真実は
夕陽色の眩しさのまま
尚も褪せずに 胸に残って……
だからこそ
酷く悔やまれた
.
『 祈ってて 』
その頼みを、本気で捉えていなかった自分
また会える事を疑わず
勝手な「いつか」に別れを薄めて
あの屋上での あの微笑みが
覚悟のそれとは
思ってなかった
.
砂煙の中、揺れるバギーの助手席で
櫻井は固く目を閉じる
そして………後にも先にもこの一度だけ、と
遠い約束の祈りを捧げた
.
…… 帰れる
必ず …… 連れて帰るよ
俺らが あなたを
きみを …… 地球に
.
.
.
雅「帰ろうね、絶対。皆で。」
翔「… ……ああ、勿論」
潤「当たり前だろ」
和「当然ですよ」
.
―――――――
調書を終えた櫻井は
重々しい個室を離れ、通路へと誘導された
監視に前後を挟まれながら
歩く事にも もう慣れた
白い上下を着せられて
白い壁だけに囲まれて
問われ続ける あの星のこと
…… 真っ白で
何処にも区切りが見えなくて
だけど
ひとつが 鮮やかに
胸の真ん中を燃やしてた
.
雅「……、あ…」
翔「…おう…… これから？」
雅「うん…」
翔「そっか…… ……頑張れよ」
雅「ん……」
.
すれ違い様
久しぶりに見かけた相葉は
少し痩せたか、大人びて見えた
「私的な会話は慎んでください」
前を行く背に
そう咎められ
歩き始めた…… その時に
真後ろから 声が届いた
「…、翔ちゃん！約束、絶対だかんね！
だから翔ちゃんも頑張って！」
.
「約束……？」
「…… いえ、何でもありません」
そう…… 答えるだけで 精一杯で
振り向く事は出来なかった
でも、胸の中に隠した炎は
さっきの声に呼応して
瞳まで熱く 滲ませた
.
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ほうれん草(プロフ) - 初めまして！どうしても気持ちを伝えたくて会員登録しました！現在大学生なのですが、小学校の頃から何度も読み返して楽しませていただいています…！TEMPESTは間違いなく1番好きなケータイ小説です。これからも楽しみにしています！更新ありがとうございます！ (2020年11月23日 3時) (
レス) id: f0434b5d68 (このIDを非表示/違反報告)
ペコちゃん - 毎回ハラハラしながら見させてもらってます。リーダーのその後が気になって仕方がありませんっ！更新首を長〜くして待ってます！ (2020年11月12日 20時) (レス) id: 726f26b2c6 (このIDを非表示/違反報告)
めいそん(プロフ) - TEMPESTで見させてもらった景色が何年経っても忘れられず、ふとまた覗きに来てみたら更新されていてびっくりしました！一気に読み返してしまいました。またこの世界の続きが見られると思うととても嬉しいです。更新ありがとうございます！ (2020年9月13日 20時) (レス) id: 3acd423d16 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - サハラさんの更新通知がとても嬉しいです！サハラさんが描く5人が大好きです。是非結末まで見届けたいと思います。 (2020年9月6日 14時) (レス) id: d6343d5c60 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - サハラさん、更新ありがとうございます。美しい風景描写にうっとりします。本当に大好きです。余韻に浸りながら次の更新をゆっくり待ってます。 (2020年9月1日 18時) (レス) id: 481bc4ee81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サハラ
作成日時：2018年4月13日 12時
