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「伏舞さん大丈夫?」
「大丈夫大丈夫……笑」
基くんがノリノリで話した怪談を思い出してぞっとする。
そんな様子を見てか、心配げにこっちを見詰める佐藤くんのビジュが良くて更に心臓がどくどく言う。
「この先だっけあの、チェックポイント……」
「ああ、首無しさんだっけ」
「ひぃやぁぁぁぁ」
片手で懐中電灯を持ちながらさらりとそう言われてつい声をあげた。
そんな私を見て佐藤くんがくすりと微笑んだ。
「基くんの話絶対嘘だから大丈夫だよ、」
伝統的って割に時系列ちぐはぐだったし、という佐藤くんが遠くなる。
正直、佐藤くんと組むってなって色々あった。声には出さないけど変われオーラ凄いし、何より怪談は本気で苦手で。
嘘だと分かっても目の前から幽霊が出てくるんじゃないかって、焦って。
「…………伏舞さん??」
佐藤くんのその声も他所に、足が竦んで止まって。
「伏舞さん、」
「さと、うくん、」
先、行ってていいよ。全然大丈夫だよ。
固まったその言葉を出そうとしていると、頭に優しい何かが触れた。
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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年4月24日 0時