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「女子ほんとに誰もやらないの⁇」
内申に響くよ、と高校生に効きそうな台詞を先生が口にしても、女子みんな目を合わせようとしない。
ひとつだけ空いた、委員会女子の欄。
皮肉にもそこは図書委員会。佐藤さんがするならみんなもって思ったけど、面倒臭さの方が勝つのかもしれない。
「うわ、長引きそ......」
藍那の小声が聞こえたのか、周りから漏れる「だる………」「誰か上げなよ〜」と言う囁き声が聞こえてきた。
……これ、は。これはこれは。
好チャンスだと思うとともに、やっぱり佐藤さんの反応が気になって、盗み見る。
「………あの、推薦でもいいですか?」
同時に佐藤さんが小さく手を挙げると、先生が驚いたように微笑む。同意を得たとほぼ同時に、その瞳が私を捉えた気がした。
「伏舞さんとか、本読んでるイメージあるし」
嫌なら強制しないけど、やらない⁇の一言に、全員がこっちを向く。
「いや、伏舞さんとは無理だよ笑」
………… また、
頭から早く消し去りたくて、俯いたまま集中する。
「ねぇ、」
佐藤さんが私にだけ聞こえる声で、言う。
「伏舞さんが嫌ならいいんだ、でも」
おれが、伏舞さんとやりたいから。
予想だにしない言葉に、つい胸が音を立てた。
「っ、⁉……まぁ、じゃあやります……」
じゃあ決まりね、と先生がどんどん先に進む中、私の頭の中で離れなくなる。
" おれが、伏舞さんとやりたいから。 ’
佐藤さん、私とやりたい、って言った。
推しが自分を認知してて、同じ委員会になりたいと言う。いや、言われた。
その破壊力はあまりにも凄まじくて、前に向き直った佐藤さんにバレないように顔を覆った。
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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年4月24日 0時