Little Sugar ． (ページ22)

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私の2つ前…新くんのひとつ前の席に座る、松井くんに隠れてうとうとする姿。

　美味しいものを食べると素直に顔に出る所。

　藍那に対してだけは男の子って感じで絡みに行く姿。

　無自覚にドキドキさせてくる言葉。

　ふんわりとした雰囲気を纏って柔らかく笑う所。

　キリがない'新くんの好きな所"は、振られてもぽんぽん浮かぶ。

　……襖雪(ふすまゆき)だ。ひらひらと、舞うみたいに静かに積もっていく。

　「…ホワイトグラデーション？」

　一言呟くと、今頃式で爆睡してそうな藍那が浮かんで苦笑いした。

　やっぱり、出たかったななんだかんだ。

　検査に呼ばれることもなく、ただ静かな個室でぼーっと窓を眺める。

　「ん、……」

　いつの間にかに落ちていた睡眠から引き戻した電話の受信音に目を擦る。

　「はい、伏舞です」

　表示をよく見ず電話に出た私の耳元に、クリスマス間近の雑踏が聞こえる。

　「伏舞さんどこ、何号室？」
　「え、…」

　病院はもう着くんだけど、部屋分かんなくてと話す主は間違えなく今考えてた人。

　「え、新くん、どうして、」
　「告白、分かんないって保留にしてたから」

　会わなきゃ何も始まらないし、という新くんはさくさくと雪を踏む音を響かせる。

　その一瞬、音が止まった。

　「……気付かなかった、雪、降ってるね」

　なんだっけ、このひらひらしたの。

　その言葉に、さっき見たのと同じものを感じてはっとする。

　「あ、そうだ、…ふすま雪」

　その言葉を皮切りに、窓を開ける。

　すこしきょろきょろとしてからこちらを見た新くんは、優しく微笑む。

　「みつけた」

　返事しに行っていい？と言う言葉に、肯定の言葉を絞り出す。

　私は通話終了になったスマホを、両手で握った。