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決戦の登校日は、寒い冬の日だった。12月の年末。そして、お父さん達が言う私の季節。
チェックのマフラーに顔を埋めて、手早く藍那と家に帰ると言うルーティンを今日は壊す。
「Aちゃん、写真撮ろ〜!」
「もちろんだよ、盛れるかな…笑」
事情を話していた仲の良い子が構えたカメラに映ると、自動で猫のエフェクトがついた。
「猫だねぇ」
「そうだねぇ、猫だねぇ」
教室で待っていた藍那にそう言われ、のんびりとそう返す。
「……本当に、今日が最後なの?」
藍那にそう言われ、動きを止める。
「……ごめん、基本こっちから日程指定はできなくて」
「寂しくなるな、卒業式にA居ないの」
大学ではタヒぬ程一緒に居ようね、と溢すと藍那がぎゅっと抱き着く。
少しの沈黙の後、「やだ好き!A好き!」とテンションの高い私の真似をして笑った。
「あ、終わった?」
「ごめん、寒かった?」
ううん、がっつりぬくぬくしてたと言う新くんが図書室の本を戻すのが見えた。
「えと、話ってなにかな」
………今日が最後だから。私にはもう時間がない。会いに行くなんてできる権利ないし、可愛くないけど、でも。
好きじゃなきゃ一緒に遊んだり、2人で出かけたりしてくれないはずだ。
「……私ね、新くんのことすきなんだ、」
きっと新くんも。きっと。
根拠のない自信で零した答えに新くんが返した言葉は一言。
「……ごめん」と言う言葉で。そのあとの優しいフォロー、かも分からない話が頭に入らなかった。
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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年4月24日 0時