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「いや話し掛けなよ笑」
お弁当を広げて炊き込みご飯を1口分に切る。
片手で文庫本を開いたところで、佐藤さんの席から声が降った。
「いや尊すぎるから、私なんぞが話し掛けられる存在とでも」
「尊すぎるて笑」
購買のパンを齧りながら明るく笑いだした
「今日も挨拶してくれた！とか喜ぶのにほんとに恋ではないんだ？彼女できてもいいの？」
「佐藤さんが選ぶ女の子なら、きっと優しくてすごく可愛いいい子だろうしそこ望んでないからね」
望んでないって所を強調する。あれだ、クラスのイケメン男子が目の保養的な。ファンクラブある人気者に、居るのか居ないのか分かんないような、もうクラスの隅に溶け込んでる様な私が釣り合うわけがない。
「へ〜」
「絶対好きじゃんとか思ってるでしょほんと違うからね笑」
「まあ、何年か後に期待だな笑」
「え、何に？」
聞き覚えのある声に、私と藍那は、それからふと横を見る。
「あれ、もう食べて来たんだ？」
「うん、おいしかった」
佐藤さんだ。
顔を上げたら予想通りのさらさらの黒髪が、藍那と話していた。
……………うん、恋じゃない。てか相変わらず顔がいい。
「そういえば
そうだ、委員会。
「そういう佐藤は？」
「ん〜……図書にしようかな、」
「あ〜、なんかぽい、私はやらないけど」
「やらないんだ笑」
本と佐藤さん絶対いい。
そんなことを考えながらぼーっとしていると、佐藤さんがこっちを向く。
「伏舞さんは？」
「えっ、わ、私、は…………」
「Aが手上げた瞬間に降ろしかけてたけどね、彼奴」
……………中学の。
彼奴あとでぶん殴る！と不吉な言葉を続けた
「伏舞さん？」
「A？」
2人の声に顔を上げると、「迷ってるけど、現時点では決めてない、」と曖昧に笑う。
本を読むのが好き。本当は、図書委員会やりたい。
でもこれで佐藤さん目当てだとか言われたくないし、何より…………。
ぐるぐるした気持ちを腹の奥に押し込めると、板に付いた作り笑いを披露して見せた。
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作者名：氷 雨 | 作成日時：2021年4月24日 0時
