Little Sugar ． (ページ1)

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序章．ページ1

苗字さん、苗字くん、あだ名、名前くん、名前呼び捨て。

私の中での、男の子の呼び方進化図だ。

距離を感じる苗字さん呼び方から、名前を呼び捨てにするまで、多めのステップを踏んで慣れないと呼び辛い。

そう、例えば前の席。佐藤新くん。

面と向かって話したことは無い。

あのアニメが良かったとか、あの子は彼氏いるとか、そんな話は夢のまた夢。

それでも、ずっと心に棲み付いている。

「おはよう」

私がどんな時間に登校しようと、真っ先に声を掛けてくれる優しさ。

さらさら。目にぎりぎり掛かる軽い黒髪。

少し細くなる、丸くてきらきらした瞳。

柔らかく微笑んで少し振り向く、極めつけの端正な顔。

少女漫画の実写化か何かと疑うくらいの癒しオーラを放ちながら、風が揺らす彼の黒髪が。後ろ姿が。声が。

私の青春の全てだ。