過去と私達に、さよならを。 ページ32
・
「…一緒に行くかい？」
『…どこにですか』
「うーん…まだ決めてないなぁ」
『何ですかソレ(笑)
…任務でしょ、早く帰ってきて下さいね』
彼女が最後の心残りなのかもしれない。
悟が好きになるのも分かるほどに
可愛くて仕方がない。
「…帰って来なかったら？」
『……何でそんな事聞くんですか？』
背中に細い腕がまわされる。
ギュッと力が込められたが大した力ではない。
『…帰ってくるって言うまで、離しません』
「フフ、そんな事を言われると
一生言いたく無くなってしまうよ」
嫌と言うほど知っている。
彼女から私への気持ちは尊敬だと。
『あなたが居ないと…五条さん泣いちゃう』
「Aちゃんは？」
『絶対…絶対許しませんから』
「それは困るなあ」
『嫌なら帰ってくるって言って下さい』
君から悟の名前が出るたびに
嫌な気持ちがモヤモヤと広がっていく。
この感情は、邪魔だ。
私が決めた生き方には必要が無い。
『…夏油さん。お願いします。
私を…助けて下さい。
憧れのままの…あなたでいて下さい』
その声は震えていた。
皮肉だよ。
今まで1度も助けを求めた事が無い君に
最後の最後でそんな事を言われるなんて。
思わず強く抱きしめ返しそうになった。
もしここで、踏み止まったなら
また元に戻れるだろうか。
非術師の為に…術師を続けていけるだろうか。
___________いや、無理だろう。
彼女を好きになるほどに
彼女の憧れでありたいと願い振る舞うほどに
きっとここで踏みとどまった事を後悔し
苦しむ事になるだろう。
だから…
「…ごめんね、Aちゃん」
『！』
そのまま首の後ろに手刀を入れて気絶させる。
力無く崩れ落ちた彼女をベッドに寝かせ
その頬に伝った涙を拭う。
「…さよなら」
最後の我儘で、額にキスを落とした。
もう、これで終わりだ。
あとはただひたすらに
私の本音に沿って決めた生き方に従うだけだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ｍ - 鍵ちゃんってニックネームが最高ですね！！鍵ちゃんＪＫ時代からクズだったのウケる😆 (2022年3月13日 21時) (
レス) @page3 id: 6a6e0e01b8 (このIDを非表示/違反報告)
margaret - 面白い！ (2022年2月3日 9時) (レス) id: 7730c8acb7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - とても面白かったです！！ 幼少期の恵との絡みもっと見たいなぁ (2021年7月12日 0時) (レス) id: 8dc6dc1d77 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - リズさん» 百鬼夜行！！書こうと思いますありがとうございます(^^)楽しみにして頂ければと思います！ (2021年6月17日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - おかか。ですかさん» 1番望ましい（個人的に嬉しい）読み方です…！嬉しいですありがとうございます（ ; ; ）本編もよろしくお願いします！ (2021年6月17日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mona
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st
作成日時：2021年2月28日 0時
