【呪術廻戦】補助監督鍵ちゃん

21. ネーミングセンス、死滅 ページ23

【伊地知side】



後日。


『伊ィ地知ィィィ！！！』

「ヒッ！！！」



大きな音を立てて引き戸が開く。

思わずキーボードから手が反射的に離れた。


あれから数日。仕事の都合で鍵兎さんとは
顔を合わせていない。


死ぬ。私は間違いなくここで死ぬ！！



「あの…先日は本当に…『私の車は！？』」


車…？仕事用の車の事だろうか？？


そういえば…


「先程学長が点検目的で運んでいましたよ
新しい車が用意されると思いますが…」


仕事用の車は全て同じ。特に問題は…



『私の…エクストラ鍵ちゃんマッハ号が……』

「え…？」


エクストラ鍵ちゃんマッハ号…？？
名前を付けてまでして愛着があったのか…。


「ですが新車でも車の種類も機能も
変わりませんよ？」



『馬鹿野郎アレは違うんだよ！！！！

私が魂込めて改造しまくった愛車だぞ！？
じゃないとあんな爆速ムリに決まってんだろ！
ビールだって冷やせるよう冷蔵庫もつけて
何ならアイスもって冷凍庫もつけて…』


「す、すみません！！
わかりました！！分かりましたから！！」


鬼の形相で胸ぐらを掴んでくる鍵兎さん。



七「何をしているんですか」

「七海お帰り〜！！喜久福買えた？？」

七「その前に伊地知くんを離しなさい」


救世主だ、助かった…。



『やっぱり生クリームずんだだよね
分かってんじゃん』

七「正確にはずんだ生クリームですね」


さっきの事なんて無かったかのように
幸せそうに笑って紙袋から取り出す鍵兎さん。


七「五条さんが好きなものを買っておけば
まず心配は無いかと思いまして」

『アイツと一緒だと思うと何かヤダな
でもアリガト美味しい』



その時


夜「A、来なさい」

『嫌です』

夜「いいから来い。車の件だ」

『嫌デス…ギャアァァななみいじちヘルプ！！
まって学長まだ私ずんだ食べてるんです！』

夜「知るか！！」



口にお土産を頬張りながら
学長に引きずられていく鍵兎さん。

ため息をつく七海さん。


七「…一体いつになれば
彼女は大人になるんでしょうね」



思い出す。

私より1学年上だった彼ら『3人』は
本当に仲が良かった事を。


高専時代から七海さんは誰に対しても敬語。
だけど彼女たちには違った。


七海さんが鍵兎さんに敬語を使い始めたのは
いつだろう。


「鍵兎、オマエ良い加減にしろよ」と怒る彼は
まだ私の記憶の中に、残っているのだ。

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